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仮面ライダーののBLACKRX

1 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:20 ID:2bEzL0tH
  仮面ライダーのの・辻希美は改造人間である。彼女の宿敵、ゼティマは
世界征服を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーののは人間の自由の為に
ゼティマと戦うのだ!

過去スレ
小説「仮面ライダーのの」
http://teri.2ch.net/mor2/kako/992/992448019.html
仮面ライダーののU
http://choco.2ch.net/ainotane/kako/1000/10006/1000651650.html
仮面ライダーののV
http://choco.2ch.net/ainotane/kako/1004/10046/1004640107.html
仮面ライダーののV3
http://tv2.2ch.net/ainotane/kako/1013/10136/1013617420.html
仮面ライダーののX
http://tv2.2ch.net/ainotane/kako/1035/10356/1035609787.html
仮面ライダーのの555(ファイズ)dat落ち中
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1047519023/
仮面ライダーののアギト dat落ち中
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1059481473/
仮面ライダーののBLACK ※前スレ
http://ex4.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1066924108/


2 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:21 ID:2bEzL0tH
1 戦いに身を投じた少女達(名称は本編に準じる)

辻希美
 仮面ライダーののに変身する。 倉庫での火災により瀕死の重傷をおうが、
加護博士の手により 失った部分を人口物で置き換え、加護亜衣の皮膚を
移植され生まれ変わる。必殺技はライダーののキック、きりもみシュート
など。本編の主人公である。

加護亜依
 辻の親友。辻と同じく倉庫での建造物落下により瀕死の重傷を負う。
加護博士により、新しい体を組成されしばらく脳だけになって研究所の地下
で眠っていた。 新しい体を得て復活するが、自らの願いにより辻と梨華美の
手により改造され仮面ライダーになる。ZXとの死闘の中で、ついに隠されて
いた霊石アマダムの力が覚醒。仮面ライダークウガとしての力を得る。

ひとみ
 加護博士、つんく博士により作成された人造人間キカイダー。 いつも背に
ギターを背負っている。不完全な良心回路を持つため、プロフェッサーギル
の笛の音を受けると善と悪の心の葛藤に悩まされる。必殺技は両手をクロス
して放つデン・ジ・エンド 。


3 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:22 ID:2bEzL0tH
梨華
 ひとみと同じく加護博士、つんく博士により作成された人造人間で、常に
ひとみと行動を共にしている。ビジンダーに変身するが、実はその体内には
爆弾が埋め込まれている。ひとみより3ヶ月先に完成していたため、試作品
ながら完成された良心回路を持つ。必殺技はビジンダーアロー、ビジンダー
レーザー。

市井紗耶香
 生身の体ながら何をやらせても日本一の少女。強化服と専用車ズバッカー
を持ち、快傑ズバットになる。親友福田明日香を殺害した犯人を探すうちに
それがゼティマの仕業と知り、以来ゼティマを潰す為組織を追う。

マキ(後藤真希)
 加護博士、つんく博士が作成した人造人間で、またの名をハカイダー。暴走
して一時ゼティマに壊滅的なダメージを与えた。のちにプロフェッサーギルの
手で服従回路を搭載され、完全な悪の僕となる。頭部にはつんく博士の脳が
搭載されているが、彼女以前に作られたもう一体のハカイダーには事故死した
少女、後藤真希の頭脳が納められた。しかしそれは動き出すことなく今も
封印されているという。自ら弟ユウキを手にかけながらも、未だキカイダー・
ひとみとの戦いに執念を燃やし、常に付け狙っている。


4 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:25 ID:2bEzL0tH
保田 圭(ケイ)
 祖父とともに、南米アマゾンで暮らしていたがゼティマの襲撃をうける。
その際、祖父の隠し持っていた腕輪とベルトを身につけ、その力により
仮面ライダーアマゾンに変身する。二つの腕輪を狙う十面鬼、ゼロ大帝が
彼女の直接の敵といえる。ついに腕輪を狙う敵の思惑を知り、祖父の託した
腕輪を命に代えても守り抜くと誓う。必殺技は大切断。

飯田圭織
 宇宙研究施設E&Sの研究員。惑星開発用改造人間計画に自ら志願し、
ヘンリー博士、同僚のりんねの手によりコードネームスーパー1に改造
される。が、研究所はゼティマに破壊され博士、りんねは死亡。その復讐
と世界平和のため仮面ライダースーパー1を名乗る。 必殺技はスーパー
ライダー月面キック、ファイブハンド。

安倍なつみ
 ゼティマに親友を殺され、その復讐の為にゼティマに捕まりわざと
改造手術をうけ、カブトムシの強靭な筋肉と発電機をうめこまれて
仮面ライダーストロンガーになる。同じく改造手術を受けた少女あさみ
こと電波人間タックルを助け共に行動していた。 ドクロ少佐との戦いに
おいて超電子人間に生まれ変わり二段変身「チャージアップ」を果たす。


5 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:25 ID:2bEzL0tH
矢口真里
 石黒彩の義妹。ゼティマに人質となって捕まっていた。その正体は宇宙
からやってきた異星人であり、身分を偽って地球に滞在し星雲仮面
マシンマリとして悪と戦っていた。だが怪人ハサミジャガーに瀕死の
重傷を負わされ、辻と加護の手によって仮面ライダーV3として復活する。
必殺技はきりもみ反転キック、遠心キックなど。

紺野あさ美
 友人達と訪れていたキャンプ場でガメレオジンの無差別殺戮に遭遇。
仲間達の命を守るために単身戦いを挑むが破れ、その命は風前の灯火と
思われていた。しかし加護生化学研究所の最新技術による改造手術で
一命を取り留め、スカイライダーとなった。必殺技はスカイキック、
大反転スカイキックなど。 仲間との特訓の末、パワーアップを果たした。


高橋 愛
 ゼティマに襲われ、父の命をかけた改造手術によってXライダーと
なった。自在に姿を変える武器「ライドル」を手に、悪に敢然と
立ち向かう。クモナポレオンとの戦いにおいて敗北した後、真里と
ミカの手によって「マーキュリー回路」を取り付けられ驚異のパワー
アップ「大変身」を可能にした。必殺技はXキック、ライドルによる
攻撃に加えてパワーアップ後は真空地獄車を会得。



6 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:26 ID:2bEzL0tH
ミカ・トッド
 元ゼティマの天才科学者。裏切り者のぬれぎぬを着せられて硫酸の
プールで処刑されそうになるが、仲間によって助けられる。しかし
右腕は壊死してしまい機械の腕「カセットアーム」になってしまった。
その力を駆使してライダーマンに変身する。生身に近い身体なので
直接戦闘は不得手だが、カセットアームによる攻撃で他のライダーを
サポートする。

村田めぐみ 
バイクロッサーメグミの能力を持つ、武器としてクロスブレードと
バスタークロスを持つ。更に専用マシーンにメグミローダーがある。

大谷雅恵
バイクロッサーマサエの能力を持つ、武器としてスリングクラッシャーと
クロスシューターを持つ、更に専用マシーンにマサエクロンがある。
マサエクロンはバイクロッサーの必殺武器ブレーザーカノンとして使用。



7 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:26 ID:2bEzL0tH
新垣里沙
 幼少の折に母と生き別れ、地底都市デスパーシティに育った。五郎
老人と共に子供達の世話をしていたが、デスパー軍団の手が及ぶことを
恐れて地上に脱出する。その際に五郎の手によって超能力に覚醒。
やがて目の前で五郎を殺されるに至ってその力が発動し、彼の遺志を
継いでイナズマンとなった。必殺技はイナズマンフラッシュ、超力
稲妻落とし。

小川麻琴
 かつてパーフェクトサイボーグZXを名乗っていたが、クウガの力に
覚醒した亜依との戦いを経て少女達に合流する。全身の99%を改造
されて過去の記憶を奪われた彼女だったが、少女達との交流の中で新たな
心の絆を見出そうとしている。必殺技はZXキック、ZXパンチなど。

ユキ
 江戸時代、修行の旅の果てに忍者集団「谷一族」に入門し頭領谷の鬼十の下に
師事した忍の者。師のつてによって美浜藩に仕えるが、秘儀「化身忍者誕生の法」
を狙う血車党の下忍達との死闘の果てに深い傷を負うが、化身忍者誕生の法に
よって変身忍者嵐として蘇る。「秘剣影うつし」などの忍術技を駆使する。


8 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:26 ID:2bEzL0tH
まい
 札幌の地に甦った第4の人造人間、キカイダー01。変身したひとみの身体とは
左右逆転した赤と青の体色を持ち、太陽電池で駆動する。「妹たちを護る」という
使命を躊躇無く遂行するべく、三姉妹のうち彼女だけは良心回路を持たない。ついに
二人の妹、ひとみと梨華との出会いを果たしたのもつかの間、れいなからファイズ
ギアを奪い、ファイズに変身したセンチピードオルフェノク・琢磨逸郎との戦いに
突入。戦いの末にこれを退けファイズギアを奪回した。必殺技はブラストエンド。

田中れいな
 ファイズギアの所持者であり、仮面ライダーファイズに変身する。かつて流星塾
という教育の場にいた子供達の一人であり、ファイズギアは彼女たちが父と敬愛
する人物から送られたものである。同窓生は次々と連続殺人の犠牲となっている
ことから、それを意図する者達を倒すことが彼女の戦う意義であると思われる。
必殺技はクリムゾンスマッシュ。ホースオルフェノクこと福田明日香との邂逅を
果たすが、二人はまだ互いのもう一つの顔を知らない・・・。


亀井絵里
 カイザギアの所有者であり、仮面ライダーカイザに変身する。カイザギアはその
力に耐えられなかった者の肉体を破壊してしまう恐るべきギアだったが、ギアに
選ばれたのは他ならぬ絵里であった。かつてはれいならと同様に流星塾の同窓生
だったが歳月が人を変えたか、以前とは別人のようになってしまったという。
必殺技はカイザブレイガンによる斬撃など。


9 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:27 ID:2bEzL0tH
2.少女達を取り巻く人々

中澤裕子
 加護博士、つんく博士の助手。
ハカイダーマキ襲撃の際、組織への疑問から脱走。後に辻と出会い、彼女の
保護者となる。現在は同居人も増え、家もにぎやかしい限りである。一時は
敵の手に落ちていたが見事生還を果たし、希美と亜依を特訓したりと少女達
の精神的支柱として大きな存在感を示している。


石黒 彩
 加護博士、つんく博士の助手。真里の義理の姉でもある。薬物により洗脳
されたうえ、真里を人質にとられゼティマで働いていたが洗脳を脱し少女達
とともに暮らしている。ハサミジャガーの襲撃によって死んだかに思われた
が、ミカによって一命を取り留め、現在はすっかり傷も完治している。


稲葉貴子
 FBI捜査官。中澤、石黒らとコンタクトをとる際、ゼティマに襲われひとみ
に助けられる。コンタクトの目的は現在不明だが、なんらかの重要な情報を
持っていると思われる。


10 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:30 ID:2bEzL0tH
木村絢花(アヤカ)
 ミカと共に組織を脱走した科学者の一人。日本に逃亡した後、親戚の経営
する病院で女医として勤務しており、重傷を負った彩の主治医として回復に
尽力した。ヨロイ元帥への復讐と組織への復帰に揺れるミカの前に姿を現し、
カセットアームの真の力を教えると囚われの友レフアを救い出した。


ソニン
 生物学者としてゼティマに囚われ無理矢理研究をさせられていた。実験体や
人質を解放するため自ら肉体強化を受けるが記憶と正気を失い、ゼティマから
追放される。やがて人の心を取り戻した彼女は記憶を取り戻す旅に出てユウキ
と出会う。そのとき高圧電流に触れ、ベルスターに変身する能力を得た。
 戦いのさなかついに自らの記憶を取り戻すが、その代償は大きく変身能力と
ユウキを失った。現在変身することは出来ないが、そのパワーは怪人並。

斉藤瞳
 2人の幼馴染、現在は2人のお隣で何でも屋を営む。2人がバイクロッサー
である事を知り協力、戦いに身を投じる。両親は現在何かの組織を調べる為に
家を開けている。

柴田あゆみ
両親の死後、2人が引き取られた施設で出会う。その頃から姉妹の様な関係。
現在は斉藤の会社で唯一の従業員。斉藤と同じく2人に協力。 また合気道の
達人でもあるが力不足を感じ修行中。


11 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:31 ID:2bEzL0tH
上原学園長と斉藤大吉
学園長は村田、大谷、柴田のいた施設の園長。3人が一番尊敬できる人物で
よき相談相手でもある。また大吉は斉藤の父親。現在とある組織について
調べる為、妻を連れあちこち飛び回る。その組織が何なのかは現在は不明
である。また、村田、大谷にとっても父親の様な存在である。

五木治部太輔弘繁
 越前美浜藩藩主。名君の誉れ高き人物であるが、同時に秘儀「化身忍者
誕生の法」を代々守り次いできた。参勤交代先の江戸屋敷にて血車党の
襲撃を受けた彼はユキの命がけの働きによって難を逃れる。ユキの師である
谷の鬼十の言葉を受け入れ、ユキに化身忍者誕生の法を施すことを許した。

堀内伝兵衛孝雄・高山源五右衛門厳実
 堀内は美浜藩家老、高山は五木に使える御用人であり、いずれ劣らぬ
忠義の人である。


12 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:32 ID:2bEzL0tH
道重さゆみ  
 れいなと二人で怪人達の待つ奥多摩へとやってきた、ちょっと内気そうな感じの
少女。れいな、絵里と同様流星塾の同窓生。しかし、そんな彼女にも異形の者達の
魔の手が忍び寄り・・・。

福田明日香
 かつて何者かによってその命を奪われたかに思われたが、「人を超えし者」
オルフェノクとして再びこの世に甦った。オルフェノク達に加担することを拒否
した彼女は、異形の身と化しながらも人の心を持ち続ける決意を抱く。そんな
彼女が新たに得た姿はホースオルフェノク。

平家
 戸田ことスクイッドオルフェノクの手にかかって命を落としたはずのコンビニ
店員。しかしその後彼女の身体は異変を起こし、一瞬蛇を思わせる異形の姿を
見せた。自らの教育係であった戸田の言葉を思い出した明日香は、彼女の身に
起きた異変の意味を知る。


13 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:32 ID:2bEzL0tH
3.「ZETIMA」〜ゼティマとは?

 世界征服を企む悪の秘密結社であり、その野望のために日々改造人間や人造人間を
産みだし尖兵として送り込んでいる。内部組織や配下組織には判っているだけでも
ダーク、シャドウ、デスター、テンタクル、デルザー軍団、 サタン帝国(壊滅)
があるがこれら傘下組織の長達もまた組織内での覇権を狙っており、組織内部にも
権謀術数の世界が渦巻いている。
 謎に包まれた存在であるゼティマ首領を頂点に最高幹部である悪魔元帥の元に彼の
幕僚と各支部の幹部が名を連ね、また「三神官」と呼ばれる最古参の幹部が存在する。
 ゼティマは世界征服のために各地で暗躍しているが、特に「世紀王」と呼ばれる
次期大首領候補捜索は組織の存亡に関わる大事であるようだ。彼らの悪事の一端は
少しず明らかになってきているが、その実態には未だ謎が多い。


14 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:32 ID:2bEzL0tH
4.二人の「世紀王」と新世界の王「創世王」

 5万年に一度の日食の日に継承者の証「キングストーン」を継承した者を「世紀王」
と呼ぶ。キングストーンは二つ存在し、同様に世紀王も二人存在する。そして互いに
相争い、勝者が敗者のキングストーンを奪い継承権を獲得すると言われている。この
戦いによって選ばれた継承者は「創世王」として来る新世界に君臨し、その力は宇宙
をも掌中に収めるとされている。
 ゼティマの最古参幹部である「三神官」は掟に則り二人の運命の娘を捜しているが、
未だ発見には至っていない。



15 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:33 ID:2bEzL0tH
5.「オルフェノク」とは・・・

 人の世に隠れ、人を超えた異形の者達。それが「オルフェノク」である。彼らは一度
死を経験して再び異形の者として甦ると言われている。ハイテク企業スマートブレイン社
がこの異形の者達に関わっていると思われるが、その実態は明らかではない。どうやら
彼らもまた「創世王」の出現を待望しており、そのためにファイズギアとカイザギアを
狙っているようである。


16 :名無し募集中。。。:04/02/17 20:34 ID:2bEzL0tH
6.「グロンギ族」とは?

 ン・ダグバ・ゼバを長として、かつて古代において「ゲゲル」と称する殺人ゲームを
展開していた。それぞれが動植物の能力を持つ異形の姿へと変身する力を持ち、その特殊
能力を生かし定められたルールに沿って人間狩りを行う。古代遺跡に封じられていたが
何者かがその封印を解き次々と現代に蘇った。元々独特の言語を持つが、現代日本語を
マスターした個体も出現しており、我々の目に触れないところで彼らのゲームはすでに
始まっているかも知れない。


17 :ナナシマン:04/02/17 20:39 ID:2bEzL0tH
 本日をもちまして新スレに移行いたしました。本スレで通算9スレ目、今後とも
ご愛顧いただけますよう作者の皆様とともにがんばりますので、よろしくお願い
いたします。

18 :名無しスター:04/02/17 21:17 ID:89Nkvz1q
>>1
乙です。
がんばっていきまっしょい。

19 :名無し天狗:04/02/17 21:25 ID:ai1d1/2E
改めまして、名無し天狗でございます。
全スレでは大変ご迷惑をお掛けしましたこと、関係者ご一同様、
並びにご覧の方々にこの場をお借りしてお詫び申し上げます。
(☆)物語もいよいよ佳境!
呪われし神話の行方やいかに!?(☆・☆・☆)

20 :名無し天狗:04/02/17 21:42 ID:ai1d1/2E

  第五十二話「呪われし神話の行方〜変身忍者嵐・第三章〜」

前スレのあらすじにございます。

(☆)越前美浜藩士・くノ一ユキとその叔母・お順は藩主・五木弘繁公の命により
信州諏訪は高島へと向かいました。その目的は諏訪神社奉納の霊石「亜摩陀無」を
血車党より守ること。諏訪への道中、ユキはかつて同じ美浜藩の者であった盗っ人・
鼬小僧の狼藉を懲らしめ、その村の名主から「亜摩陀無」にまつわる伝説を知ります。
それは神武天皇の昔、「愚論義」なる魔物の横暴から人界を救うため「凛斗」なる神々の一族が
「多岐優空我命」を差し向け、愚論義を討伐した、と言う物です。その折に空我命が鍛冶師と神官に
命じて作らせ、身に付けましたる武具こそが霊石「亜摩陀無」と、それを収める「嗚呼玖瑠」にございます。
血車党は愚論義を使い、この世の中全てを我が物とし、歴史を捻じ曲げようと画策したのですからさぁ大変!!
(☆)ユキたちは急ぎ、諏訪神社へと飛びます!そして諏訪神社に於きましても宮司より高島城に伝わる
もう一つの神話の伝説〜八岐大蛇の首の一つが黒い龍となり、沼の奥より数百年に一度、狙った土地を襲う〜
を知ったユキたちは二手に分かれ、ユキは高島城にて「龍討伐の勇者」となり、お順は「亜摩陀無」の警護に当たります。
(☆)ですがその高島城は、既に血車党の陰謀の真っ只中に陥っていたのでございます・・・・・・。

21 :名無し天狗:04/02/17 22:00 ID:ai1d1/2E
(☆)昨日とは打って変わって龍討伐から手を引かせようとする、
佐伯重定の身体と記憶を盗み取った「蝦蟇丸」。

その気配を、幽かではございますが感じ取ったユキは、
高島家家中の中で一番不審であるとされる沼部師兼こと「黒龍丸」との繋がりと、
彼らの目論みを探るべく、暫く「蝦蟇丸」を泳がせることに致しました。

「黒龍丸」が諏訪藩を攻撃する「運命の百八日目」が、刻一刻と迫ります・・・!

(☆)そして日が沈んだ頃、風呂に入って身体をほぐし、部屋で龍対策を練るユキに
「蝦蟇丸」・・・の変化(へんげ)たる重定がよそよそしくお茶を持って来ました。

「ユキ殿、今日は事の外お疲れでござろう。どうじゃな?お茶でも一服…。」

姿形はもとより、声色までもが生前の重定そのもの。
ですがユキはその時見逃しませんでした。

重定の足元に、影が映っていないのを・・・・・・。

22 :名無し天狗:04/02/17 22:17 ID:ai1d1/2E
(☆)ですが様子見のため、ここは「蝦蟇丸」の思惑に乗るフリをして、
逆に「蝦蟇丸」、そして「蝦蟇丸」を操っているであろう「黒龍丸」を欺こうと
ユキは考えます。

(☆)そしてユキは「蝦蟇丸」の勧めたお茶をゴクリ・・・。
「蝦蟇丸」はしてやったり、と幽かにほくそ笑みつつユキに声を掛けます。

「では、くれぐれもお身体をお厭い下され。」

・・・「蝦蟇丸」が部屋を出てよりやや間を置いて、ユキは厠(かわや。便所のことですな)
へ行くなり先程のお茶をゲェ〜〜〜〜・・・と残らず吐き出しました。
お茶を差し出された時、ユキは匂いから遅効性の眠り薬が盛られていることに
感付いていたのであります。

(☆)お茶に薬が含まれていたことを素早く見抜いたユキではありましたが、
それは同時に、「蝦蟇丸」の工夫の無さを露見させる一幕でもございました…。

事の仔細を知るべくユキは眠らされたフリをして、夜が更けるのを待って
行動を起こすことに致しました。

23 :名無し天狗:04/02/17 22:40 ID:ai1d1/2E
(☆)そしてその日の夜更け・・・
「蝦蟇丸」は手筈通りにコッソリと城を抜け出し、
諏訪神社へと向かおうとしております。

抜き足・差し足・忍び足…と、そこへ!

「おや?佐伯殿、斯様な夜更けにいずこへ参られますか?」

挙動不審の重定=「蝦蟇丸」を、寝ずの警護の者が呼び止めます。

「あ・・・イヤ、ちょっと、夜風に吹かれとうなってのぉ…。」
「夜風に吹かれるような刻限ではござりますまい。
 ・・・?佐伯殿、ご貴殿の身体より、何やら死臭のような匂いが致しまするが…何故に?」

(☆)然様。「蝦蟇丸」は重定の死骸を喰ろうて化けたのでございます。
それ故、重差だの死臭まで写し取ってしまったのでしょう。
「黒龍丸」も、まさか斯様な不覚をとっていたなどとは、
考えも及ばなかったに相違ございません。

「・・・・・・!!」

意外なところを衝かれて追い詰められたのか、「蝦蟇丸」は口から
毒の油を吹きつけ、警護の家臣を殺すとそのまま大きく跳び上がり、
塀を越えて諏訪神社へと跳梁致します。

24 :名無し天狗:04/02/17 23:19 ID:ai1d1/2E
その「蝦蟇丸」に、人知れず身を潜めていた血車党の下忍共が追従します。
狙うは当然、霊石「亜摩陀無」!これが彼奴らの手に渡れば
人々は愚論義と戦う力を失うてしまいます!!(☆☆・☆)

一方、高島城では…

「クフフフ…愚論義の者共が一斉に暴れだせば、
 この城中は龍退治どころでは無くなる…当然無二斎は事態の収拾に大童になるであろう。
 じゃがいくら軍勢を繰り出したところで、生身の人間が魔界の者に叶う筈など有り得ぬわ。
 仮に嵐が挑むにせよ、計り知れぬ大人数の愚論義を相手に、どこまで粘れるかな?
 尤も、「蝦蟇丸」の盛った眠り薬のお陰で、奴は丸一日泥の眠りの中だがな。
 混乱は明日・百八日目の夕刻には頂点に達するであろう。藩の領民の大多数が死に絶え、
 軍勢も全滅した時!ワシが諏訪藩に止めを差す…。
 無二斎め、首を洗って待つが良い!!ウァッハッハッハハハハハハ・・・・・・!!!!」

「黒龍丸」が、更なる悪の企みを巡らしておりました・・・。

25 :名無し天狗:04/02/17 23:20 ID:ai1d1/2E
今宵は、ここまでに致しとう存じます。続きはまたの講釈で…。

26 :川o・-・):04/02/18 00:09 ID:hmiOeXvH
川o・-・)<前スレの時系列を貼っておきます
3万年前 
 三神官、剣聖ビルゲニアを封印。

江戸時代前期・三代将軍家光の治世
嵐、誕生。血車党との死闘。

10年以上前
村田、大谷の両親死亡。ゴーラ像奪われる。

4年前〜
研究所の爆発事故により、後藤真希死亡(?)。
ハカイダー(オリジナル)完成。すぐに封印。
流星塾に子供が集められる。
飯田、りんね、アメリカに渡る。

3年前
3月 01(まい)完成。仏像の中に隠される。
ソニン、ゼティマに囚われの身となる。

2年前
1月 ビジンダー(梨華)完成
4月 キカイダー(ひとみ)完成
福田明日香死亡(?)。市井紗耶香、ズバットへ。
安倍、ストロンガーへ、あさみ、タックルへ改造される。
9月 ハカイダー(マキ)完成。暴走のため組織はいったん壊滅。
安倍、あさみ、組織を脱走。

27 :川o・-・):04/02/18 00:17 ID:hmiOeXvH
1年前
流星塾、解散。
矢口真里、地球へ。石黒の義妹となるがゼティマに囚われの身となる。
倉庫の爆発により、加護亜依死亡。
ソニン、研究途中、自らを強化人間に。しかし組織に捨てられる。
ソニン、ユウキと出会う。カゲスター、ベルスター誕生。

半年前(連載開始)
仮面ライダーのの、誕生。加護博士死亡(?)。
「連続少女殺害事件」。ファイズのベルト、道重の元へ。
辻と、中澤、石黒が合流。
暴走していたハカイダー、プロフェッサーギルに服従回路をつけられる。
アマゾンのジャングルにて仮面ライダーアマゾン(ケイ)誕生。
アメリカのE&S研究所にて仮面ライダースーパー1(飯田)誕生。りんね死亡。
キカイダー、ビジンダー、辻達と合流。
九郎ヶ岳の発掘現場からグロンギ目覚める。


28 :川o・-・):04/02/18 00:17 ID:hmiOeXvH
現在
加護亜依復活。仮面ライダーあい、誕生。
矢口、仮面ライダーV3へ。
スカイライダー(紺野)誕生、合流。
スーパー1、アマゾン合流。ン・ダグバ・ゼバ登場。
Xライダー(高橋)誕生。ストロンガーと行動を共にする。
ライダーマン(ミカ)合流。
バイクロッサー(メグミ、マサエ)誕生。
ZX(小川)完成。
タックル死亡。ストロンガー、X、合流。
バイクロッサー組、合流。
X、マーキュリー回路設置、「真空地獄車」習得。
イナズマン(新垣)誕生、合流。
01復活。
カゲスター死亡。ソニン、守備隊の隊長へ。
ライダーのの、あい、ZXと戦闘、敗北。中澤連れ去られる。
ダブルライダー復活、中澤奪還作戦。
ファイズ(田中)、カイザ(亀井)、道重、登場。
ZXとの再戦。霊石アマダム目覚める。ZX合流。麻琴とあさ美の
絆が深まる。
01合流。
13人のゼティマライダー出現。
福田明日香、ホースオルフェノクとして覚醒する。
ラッキークローバー暗躍。

川o・-・)<あとのフォローはお願いします。

29 :名無し天狗:04/02/18 15:10 ID:g/upJP6e
と、「黒龍丸」、何やらピーンとひらめいたようであります。

「・・・?待てよ、不意討ちと言うのも面白い。
 数百年に一度、ワシは国を襲うて来たが、いずれも例外なく
 詳しく日付けを定めることなく現われてやった!
 いつもは最低百八日目で事を起こしたが、それより早く動くのもまた一興…。
 もう百七日もおり続けたのだ、もういいだろう。
 城下は「蝦蟇丸」に任せて、ワシはじっくりと高島城を平らげるとしよう…。
 そう言うことだ、使いの者よ。魔神斎殿と骸丸に、よしなに頼む。」

(☆)何と「黒龍丸」、笠雲が晴れるか否かの百八日目を待たず
百七日目の夜、つまり今宵行動を起こすつもりのようであります!!
「黒龍丸」の言葉を受け、いずこかに潜んでいた血車党の下忍が
報告に向かいます。

(☆)所変わって再び諏訪神社、「蝦蟇丸」と血車党下忍の一団は
境内に侵入し、「亜摩陀無」の行方を探索致しております。

「ゲロゲーロ!まだ見つからんのか!?」
「社の中も隈なく探りましたが、未だ見つかりません…!」

「蝦蟇丸」には一応ではありますが
下忍を指揮する権限があるようでございます。

「もっとよく探せ!
 ・・・いかに結界が張られていようとも、このワシが断ち切ってくれるわ!!」

30 :名無し天狗:04/02/18 15:30 ID:g/upJP6e
息巻く「蝦蟇丸」。と、その彼に声を掛ける者が。

「ヘッヘッへお侍…こんな夜更けに神社で何なさってるんで?」

「蝦蟇丸」はこの時、まだ佐伯重定に成り済ましておったのです。

「イ、イヤ…参拝じゃよ。そうそう、参拝。な。」
「嘘言っちゃいけませんや。参拝に来たってツラじゃあござんせんぜ。」
「な…何を申すか無礼者!大体その方は何者なんじゃ!?」
「ワシですかぃ?ワシゃあ鼬(いたち)小僧ってケチな野郎でさぁ。
 昔ゃ盗っ人で世間からはみ出しとりやしたが、
 今は性根をスッカリ洗って諏訪のお社の周辺警護…。
 このお社で怪しい真似なさると、お侍でも容赦しませんぜ!!
 ・・・それにお侍、あんたにゃ死人の臭いがする…。」

そう言うや重定…「蝦蟇丸」を睨みつける鼬小僧!!

「やっぱり只モンじゃねぇ!“月ノ輪”姐さん、ちょいとお願いしますよ。」
「おう!!」

鼬小僧の求めに応じて現われたのは先刻よりの熊の面のくノ一!!
その名を“月ノ輪”と申します!!

「蝦蟇丸」の脳裏に主人「黒龍丸」の言葉が響きます。

『熊の面のくノ一には用心せよ・・・。』

その熊の面のくノ一・“月ノ輪”を前に「蝦蟇丸」はたじろぎます!

31 :名無し天狗:04/02/18 15:45 ID:g/upJP6e
(☆)舞台は目まぐるしく変わって再び高島城。
ここは藩主・無二斎信智公のご寝所であります。

「無二斎殿、よくお眠り遊ばされておいでのようですな…。」

そこに忍び入ったのは他ならぬ「黒龍丸」!!
「黒龍丸」は信智公の傍近くまで近づくと、小声でこう囁きます。

「…言い伝え通り、沼の奥より黒い龍が現われましたぞ!
 信州諏訪藩、あなたのご治世は今!終焉の時を迎えるのです…。
 この藩は我ら血車党の物!お命!頂戴仕る・・・・・・!!」

言うや「黒龍丸」は刀を抜くと、布団の中の信智公を貫かんと打ち下ろします!!

・・・ところが!!(☆・☆)

32 :名無し天狗:04/02/18 16:07 ID:g/upJP6e
「黒龍丸」の刀の切っ先が布団を突く瞬間、
その布団がバァッ!!と跳ね上がり、「黒龍丸」に覆い被さったのであります!

「な、何だ!?」

慌てて布団を撥ね退ける「黒龍丸」。そこにいたのは・・・・・・!!(☆)

「・・・!!き、貴様…ユキ!!?」
「お主が沼部殿か…お初にお目に掛かる。
 やはりお主が、此度の一件の首魁であったのか…。
 初対面で私がわかると言うことは、当然お主は
 血車党の回し者と言うことになるな!!」

(☆)言うが早いかユキは背の太刀・ハヤカゼを抜いて
「黒龍丸」に斬り掛かります!
そのユキの刃を咄嗟に受ける「黒龍丸」!!

「貴様ぁ・・・無二斎をどこへ遣った!!
 イヤ、それよりも貴様は「蝦蟇丸」の眠り薬を飲んだ筈…。」
「ほう、「蝦蟇丸」と申すのか、あの重定殿の偽者は。
 その「蝦蟇丸」こそ今どこにいる!?」
「知る必要は無い!貴様こそワシの問いに答えろ!!無二斎はどこだ!!」
「それこそ貴様の知ったことでは無い!!」

鍔迫り合いの中、口論する両名。
実は信智公は、ユキの注進から危険を察して領内の未開の山奥へと落ち延び、
谷一族に守られていたのであります。

33 :名無し天狗:04/02/18 16:35 ID:g/upJP6e
「それに眠り薬など、匂いでわかったわ!!」
「く…おのれええええ!!!」

(☆)激しい斬り合いの末、両名共に城の外へ!!
そして互いに譲らず、一進一退の激しい攻防!!

「「蝦蟇丸」め、一体何をもたついておるのだ!!
 もうそろそろ愚論義が暴れだしてもよい頃合いなのに、
 何の音沙汰も無いとは!!」
「!やはり「蝦蟇丸」は諏訪神社か!!」
「そうともよ!!」

「蝦蟇丸」の行動の遅れに苛立つ「黒龍丸」。と、そこへ…

(☆)「「蝦蟇丸」とはこ奴のことか!?」

「黒龍丸」を嘲笑う女の声と共に彼の物に突き付けられた物、
それは!!(☆)

畳一畳分の大きさの灰色の蝦蟇蛙の上に裃姿の侍の上半身、
されど頭は灰色の蝦蟇蛙その物と言う世にも禍々しき化け物の死骸!!

「が…「蝦蟇丸」!?えぇい、この役立たず!!」

そして「黒龍丸」の目の前に現われたのは、諏訪神社を血車党から
幾度と無く防いできた熊の面のくノ一…“月ノ輪”その人であります!!

34 :名無し天狗:04/02/18 16:45 ID:g/upJP6e
「そうか・・・あなたが諏訪のお社を・・・かたじけない。」

神社を救った恩人と対面し、ユキの心は感謝で満ち溢れておりました。
と、更に思い掛けない人物が“月ノ輪”の背後よりヒョッコリと現われたのであります。

「お主・・・鼬小僧!!?」
「ハハハハ…心配ご無用!性根はもう直りやしたぜ!!
 名主さんから諏訪神社のことを知って、この姐さんと一緒に守ってたわけでさ。」
「妙な気は起こさなかったであろうな?」
「まさか。」

ともあれ、心強い助太刀を得て、ユキは更なる勇気を振り絞り、
目の前の「黒龍丸」に挑みます!!(☆・☆)

「貴様ら・・・もう許さん!許さんぞおおおおおおお!!!!」

(☆)怨嗟の声を上げるや「黒龍丸」は真の姿を現わします!!(☆)

35 :名無し天狗:04/02/18 16:59 ID:g/upJP6e
その真の姿たるや、首の根よりの胴体が人間の身体の形を成し、
逞しい四肢もまた人間の手足の如く。長い首と尾を持ち、
全身を真っ黒な鱗に覆われた、身の丈三十尺はあろうかと言う
巨大な「龍人」にございます!!(☆・☆・☆)

他を圧倒するその姿を目の当たりにして、ユキもまた化身の術に入ります!
片膝をついてしゃがみ、ハヤカゼを逆手に持ち、その峰に左手のひらを添えて
グッと両目を閉じると、ユキは一心に念じました・・・。

「吹けよ嵐・嵐・嵐!とぉりゃあああぁぁー!!」

(☆)裂帛の気合いと共におもむろに立ち上がったその瞬間、鳥の羽が竜巻となって
ユキの身体を取り巻き、彼女の身体を「人ならざる者」へと変えていきます!!
(☆)やがて羽竜巻が吹き払われた時、ユキは赤鷹の鳥人へと変貌を遂げたのであります!!

「変身忍者!嵐!!見参!!!」

(☆)然様。この鳥人こそ、唯一血車党に抗う力を持つ「変身忍者嵐」その人でございます!!

36 :名無し天狗:04/02/18 17:02 ID:g/upJP6e
ただ今は、ここまでに致しとう存じます。続きは今宵の講釈で…。

37 :名無し天狗:04/02/18 20:56 ID:xlgcZOru
(☆)「猪口才な、死ねええええ!!!」

猛り狂う「黒龍丸」は口から火炎を吐いて嵐を襲います!
その火炎を嵐はサッとかわし、「黒龍丸」に飛び掛かりますが、
「黒龍丸」に容易く弾かれ、天守閣の石垣に激突!!

苦悶に顔を歪める嵐。ですがすぐに立ち上がり、
両脚を八の字に踏ん張って身構えます。

(☆)そこへ“月ノ輪”が嵐の加勢に入ります。

「今こそご恩返しの時!嵐殿、助太刀仕る!!」
「かたじけない!!」

嵐と“月ノ輪”は協力して「黒龍丸」退治に乗り出しました。
二人は「黒龍丸」の周りをビュンビュンと飛び回り翻弄します!!

「えぇい、小賢しい!!」

どうやら「黒龍丸」その大きな図体故にあまり素早くは動けぬようであります。
ですが強固な鱗に覆われた身体を盾に二人の刃を悉く弾き返します!!

(☆)と、嵐は「黒龍丸」の死角に回りつつ頭上近くまで跳躍し、
以前戦った「血車大蛇」の時のように彼の者の目を狙います!!

「この手の魔物は目だけは脆い!もらった!!」

(☆)だが「黒龍丸」も負けてはいない!!
その両目が邪悪に光ったかと思うと、
そこから奇妙な光線が放たれたのであります!!(☆・☆・☆)

38 :名無し天狗:04/02/18 21:12 ID:xlgcZOru
この「黒龍丸」の怪光線を嵐は寸での所でかわします!
嵐にかわされた光線はそのまま彼方の櫓に命中、その刹那!(☆)
櫓は轟音と共に、木っ端微塵に大爆発!!

流石は伝説の魔物…嵐と“月ノ輪”に戦慄が走ります。

(☆)勝利を確信した「黒龍丸」はその巨体と怪力に物を言わせ、
城中の建物や塀を片っ端から破壊して参ります!!
忽ち城中より響く高島家の家臣並びに女中たちの逃げ惑う悲鳴!!
崩れ落ちる壁や天井に石垣が彼らを襲い、ある者は下敷きや生き埋めとなって死に、
ある者は退路を断たれて立ち往生するなど右往左往!!
瞬く間に高島城は地獄絵図の様相を呈したのであります!!(☆☆・☆・☆)

この凄惨な様を目の当たりにして成す術無き嵐たち。
このまま、黙って指を咥えて見ているしか無いのでありましょうか…。

(☆)だが嵐は挫けません。気力を振り絞って立ち上がると、
相討ち覚悟で「黒龍丸」を凝視します!
どうやら、狙いは一つと見たようであります。

39 :名無し天狗:04/02/18 21:33 ID:xlgcZOru
「いくら外見を強くしようとも、その“内側”まではどうすることも出来まい!」

(☆)何と嵐は、「黒龍丸」の体内に飛び込み、
体内から一気に攻めようと言うのであります!!(☆・☆☆・☆☆)

確かに内臓は脆うございます。
しかしその手段はあまりと言えばあまりに無謀!!(☆・☆)
下手を致さば胃液で消化されることも充分に有り得ます!!
生還の可能性は殆ど皆無に等し!!(☆)
ですがこの魔物の横暴を食い止めるにはそれしか他に道は無しと、
嵐は決死の覚悟で臨みます!!

嵐一人を死なせてはならじと、“月ノ輪”が声を掛けますが、
この時思い掛けぬ言葉が!!

「嵐殿・・・ユキさん!!あたしも行きます!!共にあの龍を!!」
「・・・・・・!!その声は……!!?」

驚く嵐。確かにそれは聞き覚えのある声でした。

「あなたは・・・お美和さん!?お美和さんなのか!!?」
「ええ!今度はあたしがあなたを助ける番です!!」

(☆)・・・実はお美和は谷一族の隠れ里で治療を受けた際、
「何としてもユキさんに恩返しがしたい、ユキさんの力になりたい!!」と
頭領・谷の鬼十に必死に嘆願しておりました。
初めは断った鬼十ではありましたが、お美和の心からの訴えと
その熱意を汲み、これまでの「狂い毒蛾」の禍々しい化身を打ち消し、
新たに“月ノ輪”の力を与えたと言う訳でございます。

40 :名無し天狗:04/02/18 21:53 ID:xlgcZOru
「お美和さん…あなたはそこまで……
 相判った。我々にもこれまであなたには大きな恩がある。
 共に修羅の道を歩もうぞ!!」
「はい!!」

「何をゴチャゴチャ言っておるかああ!!!」

お城を破壊していた「黒龍丸」は狙いを二人に変えて
ズンズンと肉薄します。
嵐と“月ノ輪”、いやさ、ユキとお美和は決死の覚悟で
その「黒龍丸」の口内へと飛び込んで参ります!
互いの真意を知った二人に、もう、迷いはございませんでした。

(☆)大きく跳躍した嵐と“月ノ輪”は、
吸い込まれるように「黒龍丸」の口内へと入って行きます。

「ぐっ!!貴様ら、何をするつもりだ!!?」

うろたえる「黒龍丸」。二人は既に咽喉の奥へ!!(☆☆)
二人は食道を通過中の折にも、その肉壁を斬り付けておりました。

「・・・・・・!!ぐおおおおおお!!!!」

轟音を響かせて「黒龍丸」は転倒、そのまま苦悶からのたうちます!!
(☆)一方、嵐たちは「黒龍丸」の内臓と言う内臓をズタズタにしつつ、
奥へ奥へと進みます!!

(☆)やがて二人は「黒龍丸」の胃袋に到達致しました!!

41 :名無し天狗:04/02/18 22:11 ID:xlgcZOru
嵐たちに体内を悉く斬り刻まれ、「黒龍丸」は先刻までの勢いが嘘のように
全身を痙攣させております。

一方、胃袋の中の嵐たちは、時折溢れ出す胃液に注意しつつ、
その肉壁に深々と刀身を突き入れ、大きく斬り裂いて参ります。
そして胃袋を完全に使い物にならなくした二人は二手に分かれます。
“月ノ輪”は腸を、そして嵐は心臓を各々狙い、生還を誓って散って参りました。

(☆)やがて心臓を見つけた嵐は、その名の通り嵐の如く怒涛の斬撃を見舞います!!
一方の“月ノ輪”も、その姿の元となった月ノ輪熊を思わせる奮迅の大暴れ!!
あれよあれよと言う内に腸の肉壁は刀傷で完膚なきまでボロボロに!!

流石の「黒龍丸」も、もはや、これまででございます。

暫くの痙攣の後、二人の猛襲を受け続けてきた「黒龍丸」は、
伝説の魔物とは思えぬ程、弱々しく無惨な最期を遂げたのでした。

そして夜明けを迎えた時、嵐と“月ノ輪”は「黒龍丸」の口の中から
奇跡的に生還し、互いの健闘を称えて力強い握手を交わしたのです。
その二人の姿を、昇る朝日が美しく照らしておりました・・・。

42 :名無し天狗:04/02/18 22:29 ID:xlgcZOru
それ以降、血車党は「君子危うきに近寄らず」とて
諏訪神社から手を引き、ここに信州諏訪藩の危機は、完全に去ったのであります。

尚、この霊石「亜摩陀無」とそれを収める「嗚呼玖瑠」が三百年以上の時を越えて
平成の世に加護博士を通じて現在の仮面ライダーあいこと加護亜依の元に亘ったのは
皆様ご存知の通り。まさに、亘るべき人物に亘ったと申せましょう。
そして同じ平成の世に目覚めた愚論義を相手に、ライダーあいは「多岐優空我命」の
ご加護のもと、戦い続けているのであります。

(☆)さて、無二斎信智公も無事高島城にご帰還。
将軍家よりお城の修築のお許しを頂戴し、併せて此度の一件の犠牲になった
全ての者たちを心より供養致しました。

「イヤ、ユキ殿、此度のこと、実にかたじけない。そなたこそ、神に匹敵する勇者なり!!」

信智公はユキに多大なる感謝の意を表します。ですが・・・

「私は大したことは致しておりませぬ。私はただ諏訪藩の危機を救いたいと思うた、
 それだけでございます。」
「いつもながら謙虚じゃのぉ。うむ、実にあっぱれ!」
「勿体のう存じます。それに…あの「黒龍丸」を斃したのは……嵐殿でござる。」
「何?嵐?何者じゃそれは?今いずこにおる?召抱えたいものじゃ。」
「イエ…あのお方はもういずこかへと旅立って参りました。
 それに…嵐殿もきっと今の私と同じ気持ちでございましょう。」
「そうか……。」

最期まで謙虚さを忘れぬユキでありました。

43 :名無し天狗:04/02/18 22:58 ID:xlgcZOru
ここに信州諏訪は、ようやく平和を取り戻りました。空は一点の曇りも陰りも無く、
平和の戻った信州諏訪を祝福するかの如くカラリと晴れ渡っております。
あの忌まわしき笠雲も、もうございません。

「お美和さん、先程は実にかたじけない。しかし、よいのか?
 これでまたあなたは血車党に狙われることになるが・・・。」
「構いません!あたしはもう昔のあたしじゃないんです。
 それに…ユキさんはあの時仰ってたじゃないですか。
 「共に修羅の道を行こう」って。ですから、これからの旅もご一緒します!
 楽しくワイワイやりながら、土地土地の民謡を唄いながら、ネ♪」
「お美和さん…
 フフ…そうだな。旅は人数が多いほど楽しい!」

かくしてお美和は、再びユキたちと旅をすることになったのでございます。(☆)と、そこへ・・・

「おぉ〜〜〜い、待ってくれぇええ〜〜〜!!!
 …待って下せぇ、ワシも仲間に入れて下せぇ!!」
「鼬(いたち)小僧!!?」
「ワシゃユキ殿や名主さん、諏訪神社の宮司さんと出会って、今度こそ本当に目が醒めた!!
 自分の人生を見つめ直し、あんた方に恩返しして、必ず真人間になってみせまさぁ!!ですからどうか・・・!!」

鼬小僧は真剣です。目が訴えております。

「仕方ないな、今度だけだぞ。」
「!!…ありがてぇ、ありがてぇええぇ!!!」
「但し、今度また道を踏み外したその時は…わかっておろうな?」
「へぇ!そりゃあ勿論…!!」

(☆)こうしてまた一人、粗忽者の鼬小僧が新たに旅の一行に加わり、四人の…
時折「三人と一頭」になるやもしれませんが、彼女たちの世直し旅は続くのでございます。

  第五十二話「呪われし神話の行方〜変身忍者嵐・第三章〜」 完

44 :名無し天狗@締め口上:04/02/18 23:03 ID:xlgcZOru
(☆)これをもちまして「変身忍者嵐・第三章」、読み切りにございます。
長らくのお付き合い誠にありがとうございまする。
この「締め口上」までが私めの此度の講談の全てにござりますれば、
データスレご編纂の方には重ね重ねご迷惑とは存じまするが何とぞ
お引き合わせの程宜しくお願い申し上げます。

では、皆様方の無病息災をお祈りしつつ、
私めの講談、一先ずお開きと致しとう存じまする。

45 :名無し天狗:04/02/19 16:44 ID:jyrtToCk
今回の講談で語り損ねた点をいくつか・・・

・高山厳実は“月ノ輪”と鼬小僧の加勢に入り、共に「蝦蟇丸」を斃す
・「亜摩陀無」は神社の地下に隠匿
・「黒龍丸」の変身は眼帯を外して自らの封印を解いた
・お順も「蝦蟇丸」撃退に参加

…などなどでございます。誠に相済みませんです。

46 :名無し募集中。。。:04/02/19 23:00 ID:FmHmM7mw
 お疲れ様でした。今までにない新しい語り口で新鮮でした。こういう多種多様な
表現方法が同居するのがこういうスレのいいところかも。

47 :名無し天狗:04/02/19 23:35 ID:6cm0TZjs
>46さん
ありがとうございます。
今後の励みになります。

48 :名無しハンペン:04/02/20 19:46 ID:oXz6ILjC
そろそろスレタイに沿った展開を。
ということで、まずはインカの秘宝の話から。
またしばらくよろしくお願いします。


49 :名無しハンペン:04/02/20 19:46 ID:oXz6ILjC
第53話 「死闘! 十面鬼」


50 :名無しハンペン:04/02/20 19:47 ID:oXz6ILjC
「十面鬼よ。ギギとガガの腕輪の奪還はどうなっている」
「は、ははっ、今しばらくお待ちを」
「馬鹿めが! あれはお前が考えているよりもずっと大事なもの。
 もう我々に猶予の時はないのだ。一刻も早く腕輪を手に入れねばならん」
「その通りだ。約束の刻はすぐそこまで迫っている」

薄暗い部屋。
その中央に位置するものは、最初大きな岩のように見えた。
だがよく見ると、それにはいくつもの邪悪な顔が埋め込まれていた。
怪人、十面鬼。
己の欲望のために、自らの体を改造した恐るべき悪魔。

その十面鬼を周りに浮かぶのは、白いローブを身に纏った三人の神官。
ダロム、バラオム、ビシュム。
世紀王を探索する使命を帯びた三人は、そのために必要である腕輪の奪還を
十面鬼に命じていた。

「よいか。腕輪を手に入れることは、我らゼティマにとって最重要項目だ。
 それができぬとあらば、貴様の立場も危うくなる。
 いや、立場どころか命すら無事である保証はないのだぞ」
「ぐ、く……。分かった。
 今度こそ必ず腕輪は手に入れる。あ奴、アマゾンを倒してな」
「よかろう。これが最後のチャンスだ。次はないものと思え」
「分かっている。この俺、ゴルゴスの命に賭けて」
「必ず手に入れるぞ」
「アマゾンの首とともに」
「インカの至宝を我が手に」

ゴルゴスの言葉に残る顔が追従する。
ゴルゴスは拳を握り締めた。その心の底にどす黒い決意を込めて。


51 :名無しハンペン:04/02/20 19:47 ID:oXz6ILjC
その頃、アマゾンライダーことケイは、『ペット探偵』のアルバイトに精を出していた。

「やっぱり……ここにもあったか」

うっそうと茂った雑草の奥。
そこには動物の”ふん”が転がっていた。

「この感じからすると……近いわね。
 食べるものがあって、雨を避けることが出来て……」

ケイは右手にそびえる壁を見上げた。
壁の向こうは工事現場のようだった。
不景気の所為で工事自体が中止になったのか、造りかけのビルはそのままで放置されている。
暮れかけた夕日に浮かび上がる、うち捨てられた鉄骨は、まるで何かの死骸に見えた。
もちろん、中から人の気配は感じない。

「やっぱ、ここかな」

辺りに誰もいないのを確認し、ひょいと壁に飛び乗る。
自分の身長の倍ほどもある壁を難なく乗り越え、ケイは向こう側に着地した。

きょろきょろと辺りを見渡す。
配材がところかまわず積み上げられていた。
その中で、野生のカンがある一点を示す。


52 :名無しハンペン:04/02/20 19:47 ID:oXz6ILjC
「いたいた」

果たして、積み上げられたパイプの陰に、真っ白いネコが小さく丸まって隠れていた
怯えさせないようにそっと手を差し込む。

「よしよし、もう大丈夫だよ。
 さ、おうちに帰ろうね」

任務を完了させ帰路につこうとしたケイは、何かの気配を感じて足を止めた。

「何これ……この感じ……」

決して強くはないが、確かに感じる良くないものの気配。それはビルの中から感じられた。
一瞬躊躇した後、ケイはビルの入り口へと向かう。
建物の中は妙に生臭い匂いが充満していた。
生きているものの気配は感じない。いや、むしろこれは……死の香り。
薄暗いその中へと慎重に歩を進める。
ケイは柱の陰に倒れているものを見つけて目を見開いた。
ねぐらを求め建物に入り込んでいたホームレスだろうか、
何人かの男がそこに折り重なって倒れていた。
慌てて駆け寄り抱え起こす。しかし、男の体は既に冷たく固くなっていた。

「一体、誰がこんなこと……」

男の首筋にケイは目をとめた。
そこは何かに刺されたように、小さな穴が二つ並んで開いていた。

「これは……」


53 :名無しハンペン:04/02/20 19:48 ID:oXz6ILjC
傷を調べようとしたケイは、別の気配を感じて顔を上げた。
気配の先、入り口に鋭い目を向ける。

「キョエーイ!! ここにいたのか、アマゾン! 腕輪を渡せ!」

奇声を上げて入ってきたのは、白いフリンジのついた赤いボディスーツを着た女達。
十面鬼直属の部下である女戦闘員、赤ジューシャ達であった。

「おまえら、どうしてここに! まさか……この人達もおまえらが!」
「何のことだ。我らの目的はお前の持つ腕輪と……お前の首だけだ!」

ネコを抱えたまま、襲いかかる赤ジューシャの攻撃をひらりとかわす。
バランスを崩した敵に蹴りを叩き込みながら、ケイは珍しく頭を使っていた。

──この人達を襲ったのはこいつらじゃなかった。じゃあ一体誰が。

右から来た敵に肘を当て、左から来た敵に脚払いを食らわせる。
そのまま距離を取ったケイは、赤ジューシャの集団と対峙した。

「さあ、来い!」

小脇にネコを抱えながら、そう叫ぶ。


54 :名無しハンペン:04/02/20 19:50 ID:blG1fSmT
突然、天井付近からバサバサと羽根の音が響いた。
とまどう赤ジューシャの一人に、暗闇から影が襲いかかる。

「うわああああ!」
「な、何!?」

飛んできた影は赤ジューシャの首筋に牙を突き立てた。
一筋の赤い血がつぅっと垂れる。

──どさりと音を立てて赤ジューシャが倒れた。
体を隠していたものがなくなり、乱入者の正体が明らかになった。
尖った耳、手から伸びる薄い羽根、白い牙から真っ赤な血が滴る。
まるで人とコウモリを掛け合わせたような姿。
怪人は、耳に付けたピアスをかちゃりと鳴らす。

「ラヅゴグザグ ヂゾグデデジャス」
「おのれ! 何者だ!」

仲間の敵を取ろうと赤ジューシャ達が殴りかかる。
それらの攻撃を難なくかわし、コウモリ怪人は赤ジューシャ達に翼を振るった。
そして、倒れたジューシャに次々牙を突き立てていく。
腐臭漂うビルの中に、何度も悲鳴が響き渡った。
程なく赤ジューシャ達は皆、床にその体を横たえた。
獲物のいなくなった怪人は、ゆっくりとケイに向き直る。


55 :名無しハンペン:04/02/20 19:51 ID:blG1fSmT
「な、何なの、こいつ」

突然の出来事に呆然としていたケイは、殺気を感じて思わず身構えた。

「ズギザ ゴラエザ」

突っ込んでくる怪人の攻撃を、ケイは身を沈めてかわした。
そのままごろごろと転がり、敵から離れる。

「そうか、こいつがさっきの人達を襲った犯人」

無惨にも殺された人の無念を思い、ケイの胸に怒りが燃える。
抱えていたネコをそっと床に置くと、ケイは相手を睨み付けた。
そして、両手を広げて叫ぶ。

「ウゥゥゥ……アァァマァァゾォォォォーン!」

怒りのこもった目が赤く光った。まばゆい光がその体を包み込む。

「ケケェェェェン!」

大トカゲに似た緑色の体。
アマゾンライダーは威嚇するように一声叫んだ。


56 :名無しハンペン:04/02/20 19:51 ID:blG1fSmT
続く


57 :名無しハンペン:04/02/21 20:25 ID:IkdDh/iF
「ビカラグ バス ビ ”ライダ”!?」

アマゾンを見た怪人は驚いたような声を出した。
だが、すぐに思い直したようにケイを指さす。

「チョグゾギギ ゴセグ ジャデデジャス!」

言葉は分からないが、戦おうという意志は感じられた。
無論、ケイも退くつもりはない。

翼を振り上げ、殴りかかってくる敵。
右へ左へと、軽やかにアマゾンは身をかわす。
焦れたのか、怪人は大きく翼を振り上げた。
勢いを付けた攻撃を前転してやり過ごし、無防備になった背中に飛びかかる。
今度はアマゾンがその手を振り上げた。
何度も手刀を打ち下ろすと、たまらず怪人の口からうめき声が漏れる。
アマゾンはさらにアームカッターで切り裂こうと、腕を振り上げた。
怪人はそこを力任せに振りほどかれく。再び距離を取る両者。

「ギギィ………」

怪人は歯をむき出した。吹き寄せてくる感情、それは明らかな怒りだった。
ばさりと音を立ててコウモリ怪人は舞い上がった。
空中から勢いを付けて襲いかかる。鋭い爪がぎらりと光る。
アマゾンの肩から血が噴き出した。


58 :名無しハンペン:04/02/21 20:26 ID:IkdDh/iF
「くっ、このぉ!」

アマゾンも爪を振るうが、敵の変則的な動きにその反撃も相手の体をとらえきれない。
狭い場所をうまく使って変幻自在に攻撃してくる敵により、
次々とアマゾンの体に傷が刻まれていく。
黴くさい廃屋の中に、濃厚な血の香りが混じった。

「がぁぁ!」

このままでは埒があかないと感じたアマゾンは、地面を蹴る。
三角跳びの要領で大きく舞い上がる。
しかし、やはり空中での姿勢制御は相手の方が上手だった。
すんでの所で身を翻した怪人は、逃げ場の無くなったアマゾンを地面に叩きつける。
よろよろと起きあがったアマゾンに、怪人は後ろから組み付いた。恐るべき牙が首筋を狙う。
だが、それこそがアマゾンの誘いだった。掴んできた腕に逆に噛みつく。
叫び声をあげてのけぞった敵に、オーバーヘッドキックの要領でつま先を叩き込んだ。
慌てて飛び離れた怪人は、想像以上に乱暴なアマゾンの戦い方に業を煮やしたのか、
羽を広げて窓から外へ飛び出した。

「待て!」

その後を追って、アマゾンも外に飛び出す。


59 :名無しハンペン:04/02/21 20:27 ID:IkdDh/iF
だが、そこに待ち受けていたのは、予想もしなかった相手だった。

「アマゾンよ!」
「お前は……十面鬼!」

たくさんの顔が埋め込まれた、巨大な岩の真ん中から伸びる男の上半身。
その名の通り、鬼のような顔を歪ませているのは、十面鬼ゴルゴスであった。

「どうしてお前がここに!?」
「もちろん、貴様の腕輪を求めてだ。
 思わぬ邪魔が入ったがな」
「じゃま……。そうだ! 今の奴は一体……」
「奴はおそらくグロンギ。古代より蘇りし者達」
「グロンギ?」
「お前が知る必要など無い!
 それよりもアマゾンよ、決着を付けようではないか」
「決着ですって」
「そうだ、俺とお前二人っきりでな。
 これが最後の戦いだ。俺は必ずお前の腕輪を奪い取る。
 断れば……手当たり次第に人間どもを皆殺しにしてやる」

不気味な顔でこちらを睨む十面鬼を、アマゾンは真っ直ぐ睨み返す。

「そんなことはさせない!」
「では鬼天狗岳に来い。一対一の決闘だ」
「いいわ、受けてあげる」
「良い覚悟だ。先に行って待っているぞ」

不気味な笑い声とともに飛び去っていく十面鬼を、アマゾンは黙って見つめつづけた。


60 :名無しハンペン:04/02/21 20:28 ID:IkdDh/iF
「キュー、どうするんだケイ」
「モグラ! いたの?」

変身を解いたケイは驚いて足元を見下ろす。
そこには、モグラ獣人がぼこりと地面から顔を出していた。

「ここは俺もねぐらにしてた場所なんだよ。
 それより本当に一人で行くつもりなのか。
 アイツは恐ろしい奴だぞ。決闘だと言ったって罠に違いない」
「それでも行かなきゃ。これはあたしの問題。
 あたしがケリをつけなきゃいけないの」
「ケイ……」
「ありがと、心配してくれるんだね」

にっこりと笑うケイに、モグラ獣人はあたふたと手を振る。

「ば、馬鹿やろう。俺は……別に……」
「大丈夫。きっと戻ってくる。
 ね、モグラ、悪いけどこのネコ、みんなのところに届けておいて。
 あたしの代わりに。お願い」
「……分かった。気を付けろよ」
「うん」

顔を上げたケイの目には、確かな決意の色が炎のように激しく映っていた。


61 :名無しハンペン:04/02/21 20:28 ID:IkdDh/iF


いずことも知れない場所に、奇妙な衣装を着た数人の男女が集まっていた。
聞き慣れない言葉を使う、見慣れない格好をした者達。
戦闘集団グロンギ族。諏訪神社の碑文にも記されていたという太古の怪人達。

「ゴオマ」

額に薔薇のタトゥーを施した、白いドレスの美女が声を発した。
呼びかけられた男が顔を上げる。暑苦しい黒のコート、目深にかぶった黒の帽子。
男はぎょろりと目を見開く。その前に美女は静かに立った。

「ダダバダダ ゴグレ ダ ”ライダ”」
「ゴグザ ババジ ギダレヅンダゼ」

男は得意げににやりと笑いピアスをかちゃりと鳴らす。
その顔に美女は手を伸ばした。頬から顎へと細くしなやかな指が動く。
男の顔にうっとりするような恍惚の表情が浮かんだ。
だが突然、その手がツタに覆われたような不気味なものに変わった。

「グゥ……ゥオオ……」

ツタに絡め取られた男は苦悶の声を上げた。男がのたうつ様子を女は無表情なまま眺める。
散々悲鳴をあげさせ、ようやくツタが離れた。男はずるずるとその場に崩れ落ちる。

「余計なことを」

小さな声でそう呟き、倒れ伏した男を冷たく見下ろす。


62 :名無しハンペン:04/02/21 20:29 ID:IkdDh/iF
「ズギザ ゴレン バンザ」

集団の中から一人の男が歩み出た。
大きく盛り上がった全身の筋肉。意味ありげに描かれた顔の文様。

「ゴセビ ジャサゲソ」
「ザインか」

ザイン──それが男の名前だろうか。
男は野性味溢れる顔でにっと笑った。
そして傍らに置いてあった石板に線を引く。

「ドググジバンゼ バギンビンザ」
「いいだろう」

美女は、男にいくつかの勾玉のようなものがとめられた、腕輪らしきものを渡した。
そして男の腹に巻いていたベルトに指輪を押し当て、右に捻る。
何かのスィッチが入ったようなかちりと言う音がした。

「ゴゼバ ボギズドバヂバグ」

ザインは倒れたままの男──ゴウマを見下ろし嘲笑する。

「バゾガゲデジャスン ズ・ザイン・ダ」

ザインは意気揚々と外へと向かう。
その後ろ姿を、ゴウマは暗く燃える目でずっと見送っていた。


63 :名無しハンペン:04/02/21 20:35 ID:gjUi9Pbf
続く

すみません、sage忘れてました。
それと明日はお休みさせていただきます。


64 :名無し天狗:04/02/21 20:56 ID:R1aAzeDA
>名無しハンペンさん
>61
「諏訪神社の碑文にも記されていたという太古の怪人達。」

日本神話に無理矢理こじつけた私の設定が活かされていたとは!!
本当にありがとうございます!!!

続きをお待ちしてますのでマイペースで頑張ってください!!

65 :名無し募集中。。。:04/02/22 00:58 ID:JGbhjJvK
ザインったらアレか、AKIRAだね。

66 :名無し天狗:04/02/22 13:01 ID:32q+jaj2
<*これは「保全カキコ」です。
 名無しハンペンさんのお話しの流れには含まれません。>


・・・加護亜依の左二の腕を強く締め付ける紫色のマフラー…。

「…何やろ…、マフラーがウチに何か訴えかけて…導いてるような気が……。」

67 :名無し天狗:04/02/23 16:50 ID:mD8hh41A
保全がてらに時系列追記・・・(お節介?)

3万年前 
 三神官、剣聖ビルゲニアを封印。

神武天皇の時代
「凛斗(りんと)」一族の多岐優空我命(たきすぐるくうがのみこと)、
愚論義(グロンギ)を信州の九郎ヶ岳に封印。

江戸時代前期・三代将軍家光の治世
嵐、誕生。血車党との死闘。

10年以上前
村田、大谷の両親死亡。ゴーラ像奪われる。

4年前〜
研究所の爆発事故により、後藤真希死亡(?)。
ハカイダー(オリジナル)完成。すぐに封印。
流星塾に子供が集められる。
飯田、りんね、アメリカに渡る。

3年前
3月 01(まい)完成。仏像の中に隠される。
ソニン、ゼティマに囚われの身となる。

2年前
1月 ビジンダー(梨華)完成
4月 キカイダー(ひとみ)完成
福田明日香死亡(?)。市井紗耶香、ズバットへ。
安倍、ストロンガーへ、あさみ、タックルへ改造される。
9月 ハカイダー(マキ)完成。暴走のため組織はいったん壊滅。
安倍、あさみ、組織を脱走。

68 :名無し天狗:04/02/23 16:50 ID:mD8hh41A
1年前
流星塾、解散。
矢口真里、地球へ。石黒の義妹となるがゼティマに囚われの身となる。
倉庫の爆発により、加護亜依死亡。
ソニン、研究途中、自らを強化人間に。しかし組織に捨てられる。
ソニン、ユウキと出会う。カゲスター、ベルスター誕生。

半年前(連載開始)
仮面ライダーのの、誕生。加護博士死亡(?)。
「連続少女殺害事件」。ファイズのベルト、道重の元へ。
辻と、中澤、石黒が合流。
暴走していたハカイダー、プロフェッサーギルに服従回路をつけられる。
アマゾンのジャングルにて仮面ライダーアマゾン(ケイ)誕生。
アメリカのE&S研究所にて仮面ライダースーパー1(飯田)誕生。りんね死亡。
キカイダー、ビジンダー、辻達と合流。
九郎ヶ岳の発掘現場からグロンギ目覚める。

69 :名無し天狗:04/02/23 16:52 ID:mD8hh41A
現在
加護亜依復活。仮面ライダーあい、誕生。
矢口、仮面ライダーV3へ。
スカイライダー(紺野)誕生、合流。
スーパー1、アマゾン合流。ン・ダグバ・ゼバ登場。
Xライダー(高橋)誕生。ストロンガーと行動を共にする。
ライダーマン(ミカ)合流。
バイクロッサー(メグミ、マサエ)誕生。
ZX(小川)完成。
タックル死亡。ストロンガー、X、合流。
バイクロッサー組、合流。
X、マーキュリー回路設置、「真空地獄車」習得。
イナズマン(新垣)誕生、合流。
01復活。
カゲスター死亡。ソニン、守備隊の隊長へ。
ライダーのの、あい、ZXと戦闘、敗北。中澤連れ去られる。
ダブルライダー復活、中澤奪還作戦。
ファイズ(田中)、カイザ(亀井)、道重、登場。
ZXとの再戦。霊石アマダム目覚める。ZX合流。麻琴とあさ美の
絆が深まる。
01合流。
13人のゼティマライダー出現。
福田明日香、ホースオルフェノクとして覚醒する。
ラッキークローバー暗躍。
ケイの腕輪と世紀王との関係が明らかに。
ゼティマ北信越支部(旧GOD機関)壊滅。

70 :名無しハンペン:04/02/23 19:26 ID:VWN6n3kp
ライガーのライバルだった時期もありましたね>AKIRA

>名無し天狗さん
年表作成お疲れ様でした。

続きです。

71 :名無しハンペン:04/02/23 19:26 ID:VWN6n3kp


その少し後、ジャングラーを駆ったケイが鬼天狗岳に到着した。
辺りはすっかり暗くなっている。夜目の利くケイでも全てを見通すことは出来ない。

「良く来たな、アマゾンよ」

ぼうっとケイを中心に鬼火が燃えた。円形にその場が照らし出される。
円の中心、その上空には十面鬼が巨体を浮かべていた。

「約束通り、決着を付けようか」
「望むところよ。……アァァマァァゾォォォォーン!」

アマゾンに変身したケイは、背びれを逆立てて身構える。

「死ね!」

十面鬼の巨大な口から火球が打ち出された。
素早い動きでその攻撃をかわす。アマゾンの周りで、次々に火球が弾けた。

「どうしたアマゾン! お前の力はそんなものか!」

休む間もなく繰り出される攻撃。
ついにアマゾンの目の前に火球が落ちた。爆煙が巻き起こる。


72 :名無しハンペン:04/02/23 19:26 ID:VWN6n3kp
「どうだ!」
「ケケェェ!」
「なに!?」

爆煙に紛れ、アマゾンは十面鬼の背後を取った。
腕のアームカッターがぎらりと光る。

「ぬぉお!」

闇を引き裂く一閃。
だが、アマゾンの攻撃は十面鬼を捉えきれなかった。
十面鬼はぎりぎりのところで斬撃を避けていた。
邪悪なる九つの顔。その視線に死角はなかった。

「ふはは! 無駄だ無駄だ!」

十面鬼はアマゾンを振り落とすと、そのまま勢いを付けて押しつぶした。

「うわあ! ……ぐぅぅ」

アマゾンの体がみしみしと音を立てる。
どうにか抜け出そうとあがいてみても、不安定な体勢ではパンチもキックも効果がない。
ずんと音を立てて、さらに体が地面にめり込んだ。
内臓が傷ついたのか、アマゾンの口から血が噴き出す。


73 :名無しハンペン:04/02/23 19:27 ID:VWN6n3kp
「これで終わりだ。一息に踏みつぶしてくれる」

ぐったりしたアマゾンを見て、十面鬼は勢いを付けるため浮かび上がった。
宿敵にとどめを刺すべく、再び地面に向かう。
だが、アマゾンはその攻撃をすんでの所でかわしていた。
そのまま、岩に埋め込まれた顔をアームカッターで切りつける。

「大切断!」
「うぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ」

斬りつけられた顔が、断末魔の悲鳴を上げる。
生前、悪の限りを尽くした男の顔は、みるみる岩そのものへと変わっていった。

「うおおお! 俺の、俺の顔がぁ!」

十面鬼が叫ぶ。
そして怒りに満ちた目で、よろよろと立ち上がったアマゾンを見据えた。


74 :名無しハンペン:04/02/23 19:27 ID:VWN6n3kp
「おのれ……おのれ許さんぞ!
 もう貴様はただでは殺さん、地獄の苦しみを与えてくれる。
 いでよ、獣人ども!」

十面鬼が呼びかけると、闇の中から異形の影がいくつも現われた。
闇の力が作り出したおぞましき化け物達。
敵意のこもった複数の目がアマゾンに向けられる。

「くっ! 卑怯な!」
「言っただろう。俺にはもう後がないんだ。
 どんな手を使ってでも貴様を殺し、その腕輪を奪い取る!」

満身創痍のアマゾンに獣人達が襲いかかる。
先ほどのダメージは深刻だった。体が思うように動かない。
それでもアマゾンは必死で戦った。
祖父より預かった大事な腕輪を守るために。

「ええい! そんな死に損ないに何を手間どっている!
 腕輪だ! 腕輪を狙え!」

十面鬼が叫び、カタツムリ獣人がアマゾンの右手に飛びついた。
腕輪を求めてむしゃぶりつく。

「くっ! このぉ」
「今だ! 食らえ!!」

十面鬼は、ガガの腕輪をはめたアマゾンの右手に向かって、火球を吐き出した。
食らいついてくる獣人を、アマゾンはふりほどくことが出来ない。
爆発が起こり、アマゾンは吹き飛ばされた。
カラン、と乾いた音がして、ガガの腕輪が地面に落ちる。


75 :名無しハンペン:04/02/23 19:28 ID:VWN6n3kp
「ぐぅ! があぁ!」

アマゾンはのたうち回った。
ちぎれてしまった腕を抱えて。
火球は、獣人もろともアマゾンの左手を吹き飛ばしていた。

「くくく、どうだアマゾン」
「うう……仲間を犠牲にしてまで……。なんて奴なの……」

失った腕からはどくどくと赤い血が流れていた。
だが、それほどの攻撃を受けても、腕輪は無傷で残っていた。
十面鬼が手を振ると、地面に落ちた腕輪が宙へ浮かび、その手元へ飛んでいく。

「これでようやく、ガガの腕輪が俺の元へ帰ってきたか。
 良いことを教えてやろう。アマゾン。
 これはな、もともと俺が受け取るはずのものだったんだ」
「な、なんですって」
「俺はもともと神官『バゴー』の弟子だったのだ。
 奴の元でインカの秘術を学んだ。そして知ったのだ、この腕輪の伝説を」

勝利を確信したのか、十面鬼は得意げに語り始めた。


76 :名無しハンペン:04/02/23 19:31 ID:VWN6n3kp
「二つの石を持つ者同士がそれを奪い合い、両方を手にした者が全てを統べる。
 その石を封じ込めたのがこの腕輪だ。
 石を奪い合う二人の候補者。その一人が俺だった。
 だが、バゴーは石の力を恐れた。だから俺の元から腕輪を奪い取り一人の男に渡した」
「それが……おじいちゃん……なの……」
「だがここにガガの腕輪は手に入った。
 後は貴様からギギの腕輪を手に入れれば全てが終わる。
 そうなったらゼティマなんぞ関係ない。
 俺が……この俺が世界の王となってやる!」
「……そんなことはさせない。お前にだけは腕輪は渡さない!」
「ふん、その体で何が出来る。
 さあ、ひと思いにとどめを刺してやろう。
 それでギギの腕輪も俺のものとなるのだ!」

取り巻いていた獣人達がその輪を縮める。
アマゾンはずるずると後ずさった。だが、とても逃げ切れるはずがない。
獣人達は目の前まで迫っていた。
カマキリ獣人の刃がアマゾンに伸びる。絶体絶命。死の予感がアマゾンを襲った。

とん、這いずるアマゾンの背中が何かに当たった。
慌てて後ろを見上げる。
そこには不思議な衣装を着た男が、のっそりと立っていた。
男は目の前に立つカマキリ獣人を見据え、口を開く。

「ゴラゲグ ビベングデビ パパンビンレザ」


77 :名無しハンペン:04/02/23 19:31 ID:VWN6n3kp
男はケイが目に入っていないかのように前に進み、丸太のように太い腕でカマキリ獣人を掴んだ。
その手の先から、男の体がどす黒い色に変わっていく。

「ウォォォォォォ!」

男が叫んだとき、その体は異形の怪人へと変わっていた。
怪人は、顔の真ん中に生えたサイのようなツノで、カマキリ獣人を貫く。
ぶしゅっと獣人の体から黄色い体液が吹き出した。
動かなくなった獣人を確認し、怪人は腕にはめた腕輪の勾玉をかちりと動かした。

「な、何故ここにグロンギが!
 ええい、面倒だ! まとめて殺してしまえ!」

獣人吸血コウモリ、獣人ヤマアラシ、ヘビ獣人、黒ネコ獣人、トゲアリ獣人、獣人ヘビトンボ。
突然現われた邪魔者を倒すべく、全ての獣人が怪人に向かう。

「ザボゾロザ!」

だが、群がる獣人をものともせず、サイ怪人──ズ・ザイン・ダは暴れ回る。
何が起こったのかは分からないが、とりあえずの危機は去った。
アマゾンは傷ついた体を無理矢理引きずり起こす。
しかし、このぼろぼろの体で一体何が出来るというのか。
憎むべき敵を前にして、ただ手をこまねいているしかない。
無力な自分が悔しかった。


78 :名無しハンペン:04/02/23 19:31 ID:VWN6n3kp
(……汝、戦う力を欲するか……)

不意に頭の中に声が響いた。

(この……この声は!?)

それは初めて日本に来たときに聞いたものと同じ。
戦士としてケイに戦う道を示した声だった。

(この声……腕輪? ギギの腕輪がしゃべってるの?)
(汝……今まで以上の力を欲するか……。
 全てを滅ぼすやも知れぬ、強大な力を……)
(力……欲しい。あたしは力が欲しい。アイツを、敵を倒すための力が!)
(強大すぎる力は全てを滅ぼす。汝の体すらも。……それでも汝は力を欲するか)
(……例えこの身がどうなってもかまわない。
 前にも言った。これ以上、アイツラのために命が奪われるのは許せない。
 それに、そんな強大な力があるのなら、アイツラに渡すわけにはいかない!)
(……よかろう。
 では我と我の片割れを合わせよ。さすれば我らはお前に大いなる力を与えん)

声はそう告げると二度と聞こえなくなった。

(片割れ……ギギの腕輪とガガの腕輪を合わせろってこと?)

「ドゾレザ!」


79 :名無しハンペン:04/02/23 19:32 ID:VWN6n3kp
アマゾンが顔を上げると、死闘はもう終わりを告げていた。
辺りに獣人達のバラバラになった体が散らばり、毒々しい色の体液がぶちまけられている。
吐き気を催す光景の中、無事でいるのは空中に浮かぶ十面鬼と、それを見上げるザインだけだった。

「おのれ、良くも我が獣人達を」

ザインを押しつぶそうと十面鬼は勢いを付けて降下した。
だが、その突進をザインはがっしりと受け止める。

「なにぃ!」

恐るべきパワー。ザインはそのまま十面鬼を投げ飛ばす。
そして鋭いツノを突き立てるべく、一気に飛びかかった。

「ギベ!」

どしゅ、と硬いものが肉に突き刺さる鈍い音がした。
にやりと笑ったザインの口。
……そこから真っ赤な血が噴き出す。

「グゴァァ!」
「馬鹿め。貴様のような奴が、このゴルゴスに敵うとでも思っていたのか!」

笑う十面鬼の顔にも、噴出した血が降り注ぐ。
ザインの背中に十面鬼の右腕が突き抜けていた。
心臓をつぶされたザインはびくびくと痙攣を繰り返す。


80 :名無しハンペン:04/02/23 19:32 ID:VWN6n3kp
「次はお前だ! アマゾン」

ザインの死体を振り捨てた十面鬼が叫ぶ。
しかし、瀕死のアマゾンはどこへとも無くその姿を消していた。

「ど、どこへ行った!?」

9対の目が宿敵を捜して彷徨う。

「ケケーーーー!」

十面鬼の右後ろからアマゾンが飛び出した。
それは先ほど失った顔の部分。唯一の死角からの攻撃であった。
最後の力を振り絞った素早い動き。
まるでろうそくの火が消える寸前の輝き。

「おのれアマゾン! だが無駄だ!」

アマゾンの爪が空を切った。
必死のその動きも十面鬼を捉えることは出来なかった。
遂に力を使い果たしたアマゾンに、ガガの腕輪をつけた十面鬼の右腕が伸びる。

──ドシュ!

鋭い爪がアマゾンの心臓を貫いた。


81 :名無しハンペン:04/02/23 19:33 ID:VWN6n3kp
「くくく、やったぞ! アマゾンはこの俺が倒した!」
「……ゥゥウ……ガアアアア!」
「ぬお!」

自分の体を貫いた腕に、アマゾンは噛み付いた。
そのまま腕輪ごとその腕を喰い千切る。

「ぐあああああ!
 ぐ、ぅ……おのれ! この死に損ないが!」

食いちぎった腕を咥え、フーフーと荒く息を継ぐアマゾンを、十面鬼は睨んだ。
怒りの中に、わずかな怯えをにじませて。
どう考えても限界はとうに超えているはずだった。
おそらく意識も定かではないだろう。
それなのに、何が一体この体を駆り立てるのか。

──おじいちゃん……。あたしに……あたしに力をちょうだい。

残った最後の力を振り絞り、アマゾンは祈りを捧げた。
その途端、二つの腕輪が光を放った。
食いちぎられた十面鬼の腕がぼろぼろと崩れ、ガガの腕輪が空中に浮かぶ。
ふわふわと漂った腕輪は、自分の半身を求め、ギギの腕輪と重なった。

次の瞬間、辺りが真っ白い閃光に包まれた。


82 :名無しハンペン:04/02/23 19:35 ID:PYsKUElK
「な、何だ。何が起こったのだ!」

目を焼くほどの光の中に十面鬼は見た。
ぼろぼろだったアマゾンの体の傷が再生していくのを。
そして、自分が心臓に開けた穴がみるみる修復していく様子を。

「ケェェェェェェェェ!」

アマゾンが叫んだ。
ずりゅっ、と音を立てて、失ったはずの右腕が肩から新しく『生えた』。

「馬鹿な! 腕輪の力とはこれほどの──」
「ケケェッ!!」

アマゾンが飛んだ。驚くべき跳躍力。月を背にシルエットが浮かび上がる。
それを見た十面鬼の背にぞくりと怖気が走った。

「ええい! 死ねぇ!」

十面鬼は火球を打ち出した。直径2メートルもある巨大な火球。
だがそれは、アマゾンにぶつかる寸前、真っ二つに割れた。
まるでチーズを切ったときのような、鮮やかな断面を見せて。

「ば、馬鹿なぁぁぁぁぁぁ!」
「スーパー! 大・切・ダァァァァァン!!」

すたりとアマゾンは地面に着地した。
一瞬の静寂。
立ち上がるアマゾンの背後で、十面鬼の体がずるりと斜めにずれる。


83 :名無しハンペン:04/02/23 19:35 ID:PYsKUElK
爆発の炎に照らされ、アマゾンはよろよろと歩いた。

(やった……ついに十面鬼を……。でも……体が……)

目の前が霞んだ。変身を保っていられずアマゾンはケイへと戻る。

(汝……強大な力を使いこなすに至らず。やはり……まだ足りぬ……)
(何? 何のこと……)

やっとのことでそう疑問を浮かべる。
だがそれだけだった。
すっかり力を使い果たしていた。
急速に意識が薄れていく。

(約束の刻は近い……今度こそ『黒き太陽』と『影なる月』が……)

それが最後だった。
意識を失ったケイは、その場にばたりと倒れた。


84 :名無しハンペン:04/02/23 19:36 ID:PYsKUElK
「なるほど、これが腕輪の力」

死屍累々の惨状。そこに現れた一人の男。
銀の鎧を纏い、炎のような装飾の冠をかぶった仮面の男。
パルチア王朝の末裔、「ゼロ大帝」は鎧を鳴らしつつケイに近づく。

「だが、やはり石の力は不完全だったか。まあ、それも仕方あるまい。
 『運命の者』その片方が十面鬼では、さすがに役者が不足だろう。
 ふふ、所詮こやつらは試作品に過ぎんのだからな」

そう言うとケイの横にひざまずき、腕輪に手を伸ばした。
かちりと音がして、ゼロ大帝の手に光が落ちる。
手のひらで輝くもの。それは小さく透明な石だった。

「これが『太陽の石』と『月の石』か。これで世紀王様をお迎えすることができる」

満足げに微笑むとゼロ大帝は立ち上がった。
足元のケイを見下ろす。その目が、すぅっと細まった。
おもむろに腰に下げた剣を抜き、その切っ先をケイに向ける。


85 :名無しハンペン:04/02/23 19:36 ID:PYsKUElK
「俺の思惑通り、十面鬼は死に、腕輪の中の石は二つとも手に入った。
 お前のおかげだ、アマゾンよ。
 だから今日のところはお前の命預けておいてやろう。
 だが次こそは、お前の首このゼロ大帝が頂く。
 楽しみにしているが良い。くくく、ふはははははは」

剣を手に下げたまま、ゼロ大帝は歩み去った。
後に残されたのは数多くの死体と傷ついた戦士だけ。
無情なまでの荒れ果てた地に、冷たく乾いた風がいつまで吹いていた。


第53話 「死闘! 十面鬼」 ─終─


86 :名無しハンペン:04/02/23 19:37 ID:PYsKUElK
これでようやくBLACKに繋がります。
立て続けになりますが、BLACK松浦編は25日から開始します。
よろしくお願いします。

なお、あまり関係はありませんが、グロンギ語に関しては以下のページを参考にしてます。
ttp://www2.plala.or.jp/haniwarock/gurongi.htm
ttp://fukuoka.cool.ne.jp/shadowmoon/kuuganikki/glongi/home.html

さらに関係ありませんがこういうのもあったりします。
ttp://undina.hp.infoseek.co.jp/flash/ondul_tools.html


87 :名無し天狗:04/02/24 19:50 ID:gGKwHAWu
>名無しハンペンさん
BLACK…どんな展開になるか楽しみです!

ところで・・・以前ナナシマンさんとお話ししたことがあるんですが、
赤ジューシャの今後が気になります…戦闘員の中じゃショッカーと同じくらい
好きなモンで…。

88 :名無しハンペン:04/02/25 13:36 ID:dfQISR3a
>名無し天狗さん
原作とはずれますが、ガランダーに吸収されててもいいんじゃないでしょうか?
基本的に出したいものを出したい人が好きなように使えば良いかと。
思い入れがある方が良い話ができると思います。

中途半端な時間ですが更新します。

89 :名無しハンペン:04/02/25 13:46 ID:dfQISR3a
「ブレーザーカノン!」
「V3ィィ反転キィィィック!」

──どおぉぉぉぉおん

大爆発を起こすロボットが、大きなディスプレイに映し出された。

「ええい! またしても!」

その光景を見て歯がみする一人の男。
その後ろにいるもう一人の老人も、忌々しげに舌を鳴らした。
ゼティマの下部組織、デスターを率いるドクターQ。
そして元テンタクルの首領、プロフェッサーK。

「あやつらの所為で、ワシらの仕事はあがったりじゃわい!」

彼らの仕事、それは子供達を泣かせること。
子供達の涙こそが、魔神ゴーラの像からダイヤを吐き出させるために必要なのである。
加えてプロフェッサーKにとって、子供はアレルギーの元。
だからこそ彼らはその叡智を振るい、子供を泣かせることにその全てを賭けてきた。
子供達をいじめること、それは趣味と実益をかねた、彼らの生き甲斐と言っても良いものなのだ。
しかし、最近ではそれも満足には出来なくなっていた。


90 :名無しハンペン:04/02/25 13:48 ID:dfQISR3a
「なぜだ! なぜアイツラはこんなに早く我らの計画に気が付くのだ!」
「……たしかにおかしい。ここ最近、奴らの来るタイミングが早すぎる。
 まるで、子供達となにかネットワークでも持っているかのようじゃ」
「ば、ばかな! そんなことにでもなったら、ワシらの生活は……」
「首領、今日のダイヤですわ」

落ち込む二人の老人に、若い女性の声がかかった。
ドクターQの秘書であるシルビア。
そしてその後ろには、いつものようにシルビアと張り合うリタの姿。

「ちょっと! あたしが持っていくって言ったでしょ」
「うるさいわね! 早い者勝ちよ!」
「これ、やめんか! ……むぅ、やはり今日も少ないのぉ」

ここのところ、魔人ゴーラの像から手に入るダイヤの量は激減していた。
犯罪組織とはいえ、所詮ゼティマの下部組織。
ノルマがこなせなければ待っているものは厳しい処分だ。

「さてさて、これからどうしたもんか……」
「あら? お父様、これなにかしら」

リタがダイヤの入れ物を指さす。
その指の先には、ダイヤとは異なる輝く石があった。


91 :名無しハンペン:04/02/25 13:48 ID:dfQISR3a
「なんじゃ、これは」

ドクターQは首を捻りながらそれを手に取った。
ピンポン球ぐらいの大きさの二つの石。
まるで自らが光を放っているかのように、赤と青にぼんやりと輝く。

「なぜこんなものが……」
「それを渡して貰おうか。ドクターQ」

不意に名前を呼ばれ、ドクターQは慌てて振り返った。
いつの間に現われたのか、白いローブを着た三人組が、部屋の中央にふわりと浮かんでいた。

「お、お前達は……三神官!」
「ごくろうであったな、ドクターQ」
「それこそが、我らの求めていた石」
「ふふ、今まで待った甲斐があったというもの」

ダロムが手を伸ばすと、Qの手にあった石がふわりと浮かび上がり、その手の中に収まった。

「そ、その石はいったい何なんじゃ!」
「これは『王者の石』。
 インカの秘宝、ギギとガガの腕輪に納められし秘石、『太陽の石』と『月の石』。
 それらと合わさることで『キングストーン』へと変わる魔石だ」
「そ、そんなものがなぜゴーラ像から!」
「ふふふ、もともとゴーラ像とはこの『王者の石』を造るためのものなのだ。
 ダイヤなぞ、その時に出来るただの失敗作に過ぎん」
「な、なんだと……」

驚きの事実に呆然とするドクターQ達。


92 :名無しハンペン:04/02/25 13:48 ID:dfQISR3a
「これで全ての準備は整った」
「後は運命の娘の覚醒を待つのみ。
 彼のものの19回目の生誕の日を。
 明日の日食の時を」
「だが良いのか? 運命の日に生まれたのはただ一人。
 もう一人は……」
「心配はいらぬ。このビシュムの左目が見た未来は絶対。
 世紀王となる運命の娘は、あの二人を置いて他にはない」

そんなQ達を気にもとめず、三神官達は謎めいた会話を続ける。
それが、二人の少女に過酷な運命をもたらす悪魔の言葉であることは、
まだ誰も知る由もないことであった。

「よかろう。では迎えに行くとしよう。
 我らの王となる運命の娘を」
「うむ、世紀王『影なる月』を」
「そして……『黒き太陽』を」


93 :名無しハンペン:04/02/25 13:49 ID:dfQISR3a
仮面ライダーのの 第53話

  「 黒 き 太 陽 」



94 :名無しハンペン:04/02/25 13:50 ID:dfQISR3a
「太陽?」
「そ、亜弥ちゃんは太陽みたいな人だねって言ったの」

そう言って、少女は切れ長の目を細め口元に笑みをたたえた。
言われた方の少女は、ふっくらした唇をすぼめ、すねたように上目遣いになる。

「えー、あたしってそんなに暑苦しい?」
「あのー、そんなにくっつかないでくれる?
 てか、重いんですけど」
「へへー、いいじゃん。ミキたんとこうしてるの好きなんだからー」
「もー、しょうがないなあ」

明るい日の光が差す部屋。
真っ白なシーツの敷かれたソファーの上。
他に何も存在しないかのように、まるで子猫のようにじゃれ合う二人。

「どうだー。暑苦しいだろー」
「だから、そうじゃなくって。
 亜弥ちゃん見てると、なんだかぽかぽかと暖かい気分になるって言ってんの」
「んん、そう? それは嬉しいな」
「ホント、亜弥ちゃんの笑顔見てると癒されるよ」


95 :名無しハンペン:04/02/25 13:54 ID:dfQISR3a
言葉通り、少女──藤本美貴は嬉しそうに微笑んだ。

「あー、まあそうだね。ほら、あたしって癒し系? みたいな」

そう言ってもう一人の少女──松浦亜弥もにっこり笑う。

「お、自分で言うかな。そういうこと」
「にゃははは。あ、そうだ。あたし、新しい入浴剤買ってきたんだ。
 今日も一緒にお風呂入ろうね」
「おー、いいね。あ、ラベンダーじゃん。好きなんだこれ」
「でしょでしょ。絶対気に入ると思ったんだー」

美貴の言葉に亜弥はまたはしゃいだ。
くるくると良く変わる表情。
生命力が、その小さな体に漲っているように感じられる。

「いいよねぇ、亜弥ちゃんは。いっつも楽しそうでさ」
「なによぉ、たんは楽しくないって言うの?
 あたしと一緒にいるっていうのに」
「ちょ、ちょっとぉ。だからそんなにくっつかないでってばぁ」

またひとしきり、二人のじゃれ合う声が聞こえた。
幼い頃からずっと一緒に育ってきた。まるで姉妹のような関係。
仲の良い、かけがえのない存在。


96 :名無しハンペン:04/02/25 13:57 ID:dfQISR3a
「はー、あんまり変なコトさせないでよね。もう若くないんだから」
「なぁにいってんの。あたしと2つしか違わないでしょ」
「いやいや、明日でもう美貴19歳になるんだよ」

なおもくっついてこようとする亜弥を引きはがし、美貴はソファーの上のクッションを抱えた。

「……あれから十年か」
「そうだね……」

一瞬だけ、二人の間にしんみりとした空気が流れた。
その空気を切り替えるかのように、亜弥はまた笑顔で美貴に尋ねる。

「ね、明日さ、パーティーがあるんでしょ」
「そ、なんか父さん気合い入ってるみたいでさ。
 ここ一週間その話ばっかなんだから」
「船上パーティーかぁ。いやー楽しみだなぁ」
「ちょっと、主役を差し置いて目立とうとか考えてんじゃないでしょうね」
「ま、まっさかぁ……」
「あやしいなあ、その態度。
 さ、正直に白状しなさい!」
「きゃあ、ミキたんやめてよぉ」

今度は美貴が亜弥を押し倒した。
くすくすと笑う二人の声がいつまでも続く。
今日も明日もそれは変わらない。永遠にこの幸せは続いていく。
そう信じていた。
19回目の美貴の誕生日。
あの、運命の日を迎えるまでは。


97 :名無しハンペン:04/02/25 13:58 ID:dfQISR3a
続く。

ということで明日、藤本美貴19回目の誕生日。


98 :名無し天狗:04/02/25 15:45 ID:xbZWqupE
>名無しハンペンさん
なるほど・・・こりゃ楽しみだ。
あと、打ち合わせスレの不始末、失礼しました。

99 :名無し天狗:04/02/25 21:04 ID:C8q0XTo3
>名無しハンペンさん
・・・?あれ?「54話」じゃありませんでしたっけ?

100 :名無し一等海士:04/02/26 11:12 ID:ATEg8X9E
久しぶりに着て見たら前スレはdat落ちしていたんですね
>前スレの誰か
幸か不幸か僕はその「まさか」とは違うけど
乗ってる船が出港で今日まで閲覧できなかったのです
>明日(今日)はミキティの誕生日
そうなのですか初めて知りました。当言う事は僕の乗っている船の
就役記念日と同じなんですねファンとして奇遇に感じます

というわけで100get!!

101 :名無しハンペン:04/02/26 16:39 ID:y5k+nFcJ
>名無し天狗さん
あ、自分で書いた話を抜かしてた。すみません、正しくは54話です。

>名無し一等海士さん
もろもろ含めておめでとうございます。これまた奇遇な事に今日の舞台は船の上だったりしますが。
航海のご無事をお祈りしてます。

では続きです。


102 :名無しハンペン:04/02/26 16:39 ID:y5k+nFcJ
「皆さん、紹介します。私の娘、美貴です」

大きなバースデーケーキに立てられた19本のろうそく。
一息に吹き消すとたくさんの歓声と祝福の拍手が湧いた。
ぽんぽんと抜かれるシャンパンの音。
テーブルに溢れんばかりに並べられた料理。
ざわざわとあちこちで歓談の輪が広がる。

「なんか……すごいね」
「うん。美貴もこんなにすごいとは思わなかった」

ようやく人の輪から離れた二人は、目の前に広がる豪奢な光景を見て、
あらためて何度目かの吐息を漏らした。
船上パーティだと聞かされてはいたが、その規模は予想以上だった。
豪華な客船の貸し切り、船内に造られたきらびやかな会場、見たこともない高そうな料理。
そして何十人もの招待客、それも美貴や亜弥でさえ知っているような著名人ばかりだ。

「父さん、こんなに顔が広かったっけ?」
「知らない。今まで聞いたこと無かった」

藤本総一郎──大学で遺伝子工学を教えている美貴の父。
比較的裕福ではあったが、ここまで人脈があるなど二人は知らないでいた。

「美貴、こっちにおいで」

その父が美貴を手招いた。
どうやらまた招待客に紹介するのだろう。
誇らしげな父の様子に、二人は嬉しいような照れくさいような複雑な感情を抱いていた。


103 :名無しハンペン:04/02/26 16:40 ID:y5k+nFcJ
「ほお、これはかわいらしいお嬢さん達だ」

父の横に立った男がそう言って目を細めた。
30代だろうか、まだ若いと言っても良い見かけなのに、
仕立ての良い上品なタキシードがしっくりと良く似合っていた。

もちろん、美貴も亜弥もここぞとばかりに着飾っていた。
美貴の格好はホルターネックの白いブラウスに、
ほっそりとした腰回りをぴったりと包む黒のロングタイト。
首には真珠のチョーカーをあしらっている。
亜弥は腰のところできゅっと絞った、マーメイドスタイルのピンクのドレス。
髪に薔薇のコサージュを付け、むき出しの肩にはふわりとショールを羽織っていた。

「いや、本当に素晴らしい。まさに上の上だ」
「こちらはスマートブレインの社長、村上さんだ」
「スマートブレインって、あの?」
「すごい! 大企業じゃないですか」
「ははは、私はただの雇われ社長ですから」
「いやいや、君の辣腕ぶりは私の耳にも入っているよ」
「からかわないでくださいよ、藤本教授」

温厚そうに笑う村上。つられて二人も微笑んだ。

「ああ、失礼。主賓をいつまでも引き留めてはいけませんね。
 それでは、またお会いしましょう。いずれ……ね」

村上の目が亜弥に向けられた。
その瞬間、視線を受けた亜弥の体がぴくんと跳ねた。
まるでネコに睨まれたネズミのように。


104 :名無しハンペン:04/02/26 16:40 ID:y5k+nFcJ
村上と別れ、二人でシャンパンをちびちびなめる。

「しっかし、スマートブレインの社長ってまだ若いんだね。
 それになかなか格好良かったし。
 ね、あの人、亜弥ちゃんのこと見てたよ。どう、玉の輿狙ってみたら?
 ……って、どうしたの?」

ぼんやりと何かを考え込んでいる亜弥を、美貴は不思議そうに覗き込んだ。
亜弥は先ほどの村上の視線を思い出していた。
何かを探るような、全てを見通されるかのような、強い視線。

「あの人……なんか……怖い」
「え?」
「あ、ううん。なんでもない。なんでもないよ。
 それにぃ、あたしはぁミキたん一筋だから」
「なにそれ、ヘンなの」

おかしそうに笑う美貴を見て、亜弥も元気よく顔を上げた。
心に突き刺さった小さなとげを振り払うように。

「ね、ちょっとデッキに出てみない。なんか外の風に当たりたくなっちゃった」
「酔っちゃったんじゃないの? 飲み慣れないシャンパンなんか飲むから」
「なによー、たんだってまだ未成年でしょ」
「ま、そこは固いこと言いっこなしで」

ふざけあいながら、二人はパーティ会場を抜け出し、デッキへと出た。


105 :名無しハンペン:04/02/26 16:41 ID:y5k+nFcJ
天気も良く、太陽がさんさんと照っているとはいえ、さすがに外の風は寒かった。
火照っていた体が、一気に引き締まる。

「うー、さすがに寒いね」
「うん、でもこうやってくっつけば大丈夫」
「あー、ホントだ。やっぱ亜弥ちゃんあったかいわ」
「そりゃ、あたしは太陽ですから」
「ふふふ」

二人はぴたりと寄り添い、海を見つめた。
先ほどの喧噪が嘘のように、デッキの上は静かだった。
冷たい海風が、時折二人の髪を通り過ぎていく。

「あれからもう……十年経ったんだね」

美貴がぽつりと呟いた。

「亜弥ちゃんが、美貴のうちに初めて来たとき。
 あれは美貴の9歳の誕生日だった」
「あたしね、あの日のこと一生忘れないと思う。
 ミキたんが……あたしに言ってくれたこと」


106 :名無しハンペン:04/02/26 16:42 ID:y5k+nFcJ
亜弥が3歳の時、亜弥は突然ひとりぼっちになった。
事故だった。両親を乗せた飛行機が、原因不明の墜落をしたのだ。
亜弥はその後、親戚の家に引き取られた。母方の遠い親戚だったという。

それから4年が経ち、亜弥は美貴のところへやってきた。
美貴の父が何故、親友の娘を急に引き取ろうとしたのかは分からない。
見知らぬ家に連れてこられたその日、亜弥はにこにこ笑っていた。
幼い顔に、愛想の良い満面の笑みを浮かべて。
美貴の父はとても喜んだ。『かわいい娘が出来た』と。
そんな亜弥を、美貴はずっと見ていた。静かにずっと。

二人っきりになるとすぐ、美貴は亜弥の前に立った。
とまどったように見返す亜弥を、美貴はそっと、
まるで繊細なガラス細工を扱うように優しく抱きしめた。
そして、亜弥の耳元でこう呟いた。

「無理して笑わなくても良いんだよ」

亜弥の目が大きく見開いた。
突然ぽろぽろと涙がこぼれる。固まったような笑顔のまま。
美貴はずっと亜弥を抱きしめていた。亜弥の涙が止まるまでずっと。

引き取られた先で、亜弥はひどく辛くあたられていたらしい。
亜弥が泣き出すと、余計に仕打ちは辛くなった。
だから亜弥は笑った。常に笑顔のままでいた。
笑みという仮面をその心にかぶったのだ。
それがあっけないほど簡単に外された。
一人の少女によって。


107 :名無しハンペン:04/02/26 17:05 ID:DC5n4PDw
「だからあたしにとって、ミキたんはすごく大切な人。
 かけがえのない大事な人。
 あたしが本当の顔を見せることができるのはミキたんの前だけ。
 あたしはミキたんのためならどんなことだってできる。
 ずっと、ずっと一緒だよ。これからも」
「亜弥ちゃん……」
「ね、ミキたんは……ミキたんはあたしのことどう思ってるの?」
「あたしは……あたしは亜弥ちゃんのこと……」

手すりを掴んでいた美貴の手に、ぴたりと何かが止まった。

「きゃあ!」

驚いた美貴は慌てて手を振る。デッキにぽとりと落ちたそれは、一匹のバッタだった。

「何でこんなところに」
「み、ミキたん……」

亜弥の震える声に顔を上げた美貴は目を見開いた。
目に映るバッタの大群。どこから現われたのか、無数のバッタが辺りを覆い隠していた。

「いやあ、何これ!?」

身を寄せ合った二人はデッキにしゃがみ込む。


108 :名無しハンペン:04/02/26 17:06 ID:DC5n4PDw
「ついにこのときが来た。約束の刻が」

恐怖におののく二人に、不気味なしゃがれ声が届いた。
おそるおそる顔を上げる。そのまま息を呑んだ。
これまで以上に想像もつかない光景に、二人はもう声も出ない。

寄せては返す波の上、空中に漂う3つの白いローブ。
不気味な顔をあらわにし、三神官の一人ダロムが重々しく呟く。

「さあ、ご一緒に。我が御子よ」

差し出された手から逃げるように、美貴はぶんぶんと首を振る。

「恐れることはない。あなたは選ばれし者なのだ」
「そう、あなたは運命の娘なのよ」

そう言ったビシュヌは亜弥にも目を向ける。
その目が微かに細まった。

「間違いない。もう一人はこの娘だわ」
「そうか、やはり」
「ええい、松浦め。こざかしい真似を」
「まあ良い。これで二人の娘が揃った。儀式は滞りなく行われるだろう」


109 :名無しハンペン:04/02/26 17:06 ID:DC5n4PDw
「何なの? 何なのよ一体!? もうヤだよ、こんなの……訳分かんないよ……」

感情のままに叫び、力無くうなだれる美貴。
その体を抱きしめるようにして、きっと三神官を睨んでいた亜弥の顔がすぅっと翳る。
亜弥の顔だけではない。周囲が闇に落ちようとしていた。

「太陽が……消える。なにこれ、日食……なの?」

巨大な生き物に食われたかのように、太陽はその姿を消そうとしていた。
運命の日。
約束の刻。
5万年に一度の日食の日。

「全ての準備は整った。
 我らの王たる存在、世紀王様を迎える準備が」

亜弥と美貴を取り囲んだ三神官は、そのまま上空をゆっくり回る。

「さあ、藤本美貴。そして……松浦亜弥よ。
 我らとともに約束の地へ」

亜弥は美貴を抱きしめる手に、ぎゅっと力を込めた。


110 :名無しハンペン:04/02/26 17:06 ID:DC5n4PDw
続く。

ちょっと暴走してます。ごめんなさい。


111 :ねぇ、名乗って:04/02/26 17:37 ID:zqnvIoI/
名無しハンペンさん
>航海の無事を祈っております
ありがとうございます
111get!!

112 :名無し天狗:04/02/26 18:07 ID:kn0qM7Bm
>名無しハンペンさん
暴走なんてとんでもない!!
今更とは思いますが…

・二人は年こそ違えど日食の日に生まれた
・美貴の誕生日が「5万年に一度の日食の日」だった

…ってことで差し支えないでしょうか?

113 :名無し天狗:04/02/26 18:10 ID:kn0qM7Bm
あともう一つ…

>引き取られた先で、亜弥はひどく辛くあたられていたらしい。

…南光太郎もそうだったんでしょうか…?

114 :名無し募集中。。。:04/02/26 22:46 ID:Sgf4zlpH
別に揚げ足を取るとか決してそう言う意味では無いんですが、
108の「ビシュヌ」は「ビシュム」ですね。

115 :名無しスター:04/02/27 00:42 ID:o9SwoFJH
                                       /    。/   \。/
あやみきキタ━━━( ´D`)━( ´D)━(  ´)━(  )━(  )━(● )━(w● )━(●w● )━━━!!!!!


先が楽しみです。がんばってください。

116 :名無し募集中。。。:04/02/27 12:30 ID:tGcIgmWf
>>113
光太郎は両親が消されてすぐに引き取られたはず。

117 :名無し天狗:04/02/27 14:10 ID:w+OLumjD
>116さん
引き取られたのはわかってるんですが
引き取られてからの「その後」を知りたいわけで…。

118 :名無しハンペン:04/02/27 16:41 ID:+RHvqXf1
>・二人は年こそ違えど日食の日に生まれた
については後ほど本編で。(次次回更新分くらい)

>・美貴の誕生日が「5万年に一度の日食の日」だった
5万年に一度(の儀式のための)日食の日なのだと解釈してます。
つまり誕生日と手術の日、両方5万年に一度の日食の日な訳ですね。

>…南光太郎もそうだったんでしょうか…
そういう設定は無かったと思います。向こうも一緒に風呂はいるくらい仲良かったですし。
松浦の笑顔の裏に影が欲しかったのと、ただの仲良しではない二人の絆を出したかったんで
勝手にこちらで設定しました。(もう一つ理由があるんですがそれも後ほど)

>108の「ビシュヌ」は「ビシュム」ですね。
うう、ごめんなさい。こんなんばっかりや……。ご指摘ありがとうございました。

レスありがとうございました。あやみきがんばってます(w では続きです。


119 :名無しハンペン:04/02/27 16:41 ID:+RHvqXf1
薄暗く小さな部屋に亜弥と美貴は浮かんでいた。
二人の周りを触手のようにチューブが取り囲み、身も知らぬ機械に赤や青の光が時折輝く。
呪術と科学の融合した、不気味な空間。

「二人の体、細胞の一つ一つを強化改造した。次はいよいよ……」

ダロムが取り出したのは赤と青に輝くピンポン球ぐらいの石。
インカの秘法「太陽の石」と「月の石」それにゴーラの像から出現した「王者の石」。
これらを合わせて作られた「キングストーン」。
ダロムが手をかざすと、二人のお腹の上に置かれた石がずぶずぶとめり込んでいった。

「うあ、うああああああ」
「く、くぅうううう」

美貴と亜弥の苦痛に満ちた声が部屋に木霊する。

「後は人間としての記憶を消し去るだけ。それで改造手術は完了する」

重々しくダロムが呟いた。
傍らのバラオムとビシュムもゆっくり頷く。

「待ってくれ、約束が違う! 記憶を無くすのだけはやめてくれ。二人とも私の娘だ」

突然、そこへ入ってきたのは二人の父、藤本総一郎だった。
三神官に対し声を荒げると、気丈にも詰め寄る。

「プロフェッサー藤本。亜弥と美貴はもはやあなたの娘ではない。
 世紀王ブラックサン、そしてシャドームーンなのだ」


120 :名無しハンペン:04/02/27 16:42 ID:+RHvqXf1
ダロムは総一郎を宥めるようにそう言い、右手を掲げた。その爪がぐいっと伸びる。
伸びた爪から亜弥の体に光が走った。
光はシーツに覆われた腹部から、ゆっくり頭へと上がっていく。

「いやあああああ!」
「亜弥ちゃん!」

拘束された体を必死で動かし、美貴が亜弥へと手を伸ばす。

「み、ミキたん……」

亜弥はすがるような目でその手を見つめた。その間もダロムの右手は頭へと進む。
光はもう、額のすぐそばまで迫っていた。

「やめろ!」

一声叫んで、総一郎は飛びかかった。
不意をつかれ、ダロムはバランスを崩した。
右手の爪からでた光が、亜弥の拘束を切り裂く。
光はそれに止まらず、辺りをズバズバと焼き切った。
至る所でショートした機械が、ばちばちと火花をあげる

「きゃああああ!」

光は美貴の上にも届いていた。
切り裂かれた配線がその上に降りかかる。
美貴は苦しそうに悲鳴をあげ続けた。

「ミキたん!」
「美貴!」


121 :名無しハンペン:04/02/27 16:42 ID:+RHvqXf1
叫ぶ総一郎にバラオムの手から光線が飛ぶ。

「うわあああ!」
「父さん!」

拘束は全て断たれ、亜弥の体は自由になっていた。
混乱する三神官を押しのけ、亜弥は倒れた父親の元に駆け寄った。
顔面をくしゃくしゃにした娘に、総一郎は必死で叫ぶ。

「私にかまわず逃げろ!」
「でも……でも……」

抱え起こそうとした亜弥の手を総一郎は握り締めた。

「良いから行くんだ。お前だけは……お前だけは」
「父さん!」

総一郎は亜弥を自分の入ってきたほうへ押しやった。
そのまま仁王立ちになり、背後の娘に向かって叫ぶ。

「行け、亜弥! 逃げろ、逃げろ!」
「父さーーーーん!」


122 :名無しハンペン:04/02/27 16:43 ID:+RHvqXf1


亜弥は必死になって逃げていた。どこをどういう風にたどってきたのか分からない。
自分が上に進んでいるのか、下に進んでいるのか、それすら分からないでいた。
それでも亜弥は自分の脚を動かし続けた。
前へ前へと。

「逃げても無駄だ、松浦亜弥」

ふわふわと宙に浮かびながら、三神官はその後を追っていた。
5万年も待っていた神聖な儀式。それをこんなことで無駄にするわけにはいかない。
既に改造手術は済んでいる。後少し、後少しなのだ。
神官達もまた必死あった。

「さあ、我らと来て改造手術を完了し、ゼティマの世紀王ブラックサンになるのだ」
「いや! そんなのいや!」
「駄々をこねてはいけませんブラックサン」
「お前はやがて改造人間の王として君臨する、栄光の娘なのだ」
「あたしは……あたしはあなた達の思い通りにはならない!」
「ええい!」

バラオムの手から光線が伸びた。
亜弥の真横の壁が爆発する。爆風に飛ばされ亜弥はばったりと倒れた。
しかし、すぐさま起きあがり、再び前へと進む。


123 :名無しハンペン:04/02/27 16:43 ID:+RHvqXf1
傷ついた美貴も、父親も残し、自分だけ逃げだした。そのことが胸にのし掛かる。
それでも、進まなければならない。
ここで亜弥まで捕まってしまえば、希望は全て失われてしまうのだ。
どうにかこの場所を抜け出し、誰かに助けを求めなくては。
助けを──だが、一体誰に?

「きゃああ!」

バラオムの光線が先ほどよりも近いところに命中した。
びしりと床にひびが入る。ぐらりと亜弥の体が傾いだ。
先ほどまで踏みしめていた地面が、急に頼りないものに変わる。
がらがらと何かが崩れる音。
──不意に訪れる浮遊感。
亜弥の足元には大きな穴が開いていた。

「しまった!」

神官達の焦り声が聞こえた。
しかし、それもすぐに遠くなる。
ばたばたと耳元でシーツが音を立てる。
亜弥の体は真っ逆さまに下へと落ちていった。


124 :名無しハンペン:04/02/27 16:46 ID:EP1FoHec
「う、こ、ここは……」

軽く意識を失っていたらしい。
ぼんやりする頭を振り、亜弥は体を起こした。
自分の置かれていた状況が急速に蘇ってくる。
きょろきょろと辺りを見渡す。
どうやら追っ手はまだここまでは来ていないようだった。
亜弥は自分が落ちてきたところ──真上を見上げる。
左右の壁がどこまでも続く。その先はとても確認できなかった。
数十メートル、あるいはそれ以上の距離を落ちてきたらしい。
それなのに、自分の体には傷一つついていない。

(一体どうなっちゃったの……あたしの体……)

不安が胸に暗い影を落とす。亜弥は視線を落とした。
体に巻きついたシーツをぎゅっと握り締める。
それでもここであきらめるわけにはいかない。
そう思い亜弥は再び顔を上げた。
通路はずっと先まで続いているようだった。
今まで以上に重く感じる脚を引きずり、亜弥はそれでも前へと進んだ。

通路の先は、まるで木の根のように白いパイプが絡み合っていた。
かき分けるように進んだ亜弥は、突然ぴたりと足を止めた。


125 :名無しハンペン:04/02/27 16:47 ID:EP1FoHec
「なに……これ?」

頭の中に、何かが直接語りかけてくる。
その声に誘われるように先へ進んだ。
絡み合うパイプをぐいっとかき分ける。
不意に真っ白だった世界に、鮮やかなライムグリーンが現われた。

「あたしを呼んだのはお前……なの?」

それは一台のバイクだった。
オフロードタイプというのだろうか、しなやかさを感じさせる細身の車体。
グリーンを基調にカラーリングされたその姿は、どことなくバッタに似て見える。
亜弥はそのバイクにそっと手を触れた。
その途端、まるで命が吹き込まれたように、バイクのあちこちがちかちかと輝いた。
目を細め、滑らかな表面を愛おしげに撫でた亜弥は、小さな声で呟いた。

「そう……お前、バトルホッパーって言うの」

バイク──バトルホッパーは亜弥の質問に答えるようにブルンとエンジンを鳴らした。


126 :名無しハンペン:04/02/27 16:47 ID:EP1FoHec
続く。

アヤンキーって名前にしようかとも思いましたが、さすがにやめました(w<バトルホッパー


127 :名無し天狗:04/02/28 02:03 ID:6zofcr0Y
>名無しハンペンさん
アヤンキー・・・
「J」のベリーのように松浦の下僕的キャラとして使ってみるとか…ダメ?

128 :名無しハンペン:04/02/28 16:42 ID:VvvDITq9
>名無し天狗さん
今後の扱いについては他作者さんにお任せします。
(Jは見てないのでなんとも……)


129 :名無しハンペン:04/02/28 16:42 ID:VvvDITq9
深夜の公園。
閑静な住宅街な所為か、人通りは全くない。
耳が痛くなるほど静まりかえった空間。
ただ街灯の明かりがわずかに辺りを照らしているだけだった。

亜弥は暗がりの中、茂みに身を潜めていた。
油断無く辺りをうかがう。しかし、敵が追ってくる様子はなかった。

あの後、亜弥は何かに導かれるようにバトルホッパーにまたがった。
その途端、バイクはものすごい勢いで走り出した。
もともと亜弥はバイクの免許など持ってもいない。
しかし、まるで意志を持っているかのようにバトルホッパーは走り続けた。
迷路のような通路も、答えが分かっているかのようにあっさりクリアした。
そのおかげで亜弥はあそこから逃げ出すことが出来たのだ。

(これから、どうしよう……)

警察は当てにならない。なんとなくそんな予感がした。
第一、どう説明すればいいのだろう。あんな不可思議な体験。
かといって家に帰るわけにもいかない。
父親が関わっていた以上、何者かが待ち受けている可能性は高い。

(なによりも、こんな格好じゃあ……)

亜弥はしゃがみこんだまま、むき出しの両肩をぎゅっと抱えた。
こんなところに身を隠しているのも訳がある。
逃げ出すだけで精一杯だった。途中で見つけたのはバトルホッパーだけ。
他には何も手にしていない。つまり……。
そう、亜弥は今ぼろぼろのシーツ一枚を身に纏っているだけなのだった。


130 :名無しハンペン:04/02/28 16:44 ID:VvvDITq9
(ううう、恥ずかしいよお)

冷たい夜風が、身に染みる。
亜弥も年頃の娘。こんな格好では人前に出て行くことも出来ない。
と言って、夜が明けてしまったらそれこそどうしようもない。
絶体絶命、亜弥は頭を抱えるしかなかった。

「どないしたん?」
「ひぃぃ!」

後ろから声を掛けられ、亜弥は思わず仰け反った。
考えに浸りすぎていたのか、人の気配を全く感じていなかった。
不幸中の幸いだったのは、掛けられた声が女性のものだったことだろうか。
ごくりと唾を飲み込み、おそるおそる振り返る。
目の前に立っていたのは、縮れた髪を明るい色で染めた細身の女だった。
亜弥よりも年上、二十台半ばぐらいだろうか。
シンプルな白のTシャツ、デニムのジャンバー、洗いざらしのジーンズ。
手にはコンビニの袋を下げている。

「いや……それが……その……」
「なんやの、その格好? なんかのプレイ?」
「プ、プレッ! ち、違いますよぉ! これは……ちょっと……」
「あっそ」

真っ赤になって首を振る亜弥の横を、女は興味なさそうに通り過ぎる。
そして背中越しに亜弥に話し掛けた。


131 :名無しハンペン:04/02/28 16:45 ID:VvvDITq9
「ふん、なんか訳ありみたいやね。
 ええよ、おいで。服くらい貸したげるわ」
「へぇ!?」
「へぇ、じゃないやろ。
 あんた、いつまでその格好でおる気やのん?
 朝になったら、ここも人通りが多くなるで。
 あんたみたいのんがおったら、通勤中のサラリーマンさんの目の毒やわ」
「あ、あの……でも……あたし……」
「心配せんでエエよ。別にとって食うたりはせぇへんから」

と、こちらを振り返る。
一見ぶっきらぼうな口調だが、その言葉はなぜだか信頼できる気がした。
戸惑う亜弥に、女は自分の着ていたジャンバーを投げてよこす。

「あんた、名前は?」
「あ、あの、ま、松浦、亜弥でぇす」
「へえ、かわいい名前やないの。
 あたしは平家みちよ。んじゃ、ついといで。すぐそこやから」

平家はそう言ってすたすたと歩き去る。
亜弥は意を決したように頷くと、その背中に小走りでついていった。


132 :名無しハンペン:04/02/28 16:47 ID:VvvDITq9
「どや? 気に入った服はあったかいな」
「あ、はい」

亜弥が連れてこられたのはえらく高級なマンションだった。
見上げるほどに大きな建物。ピカピカと磨き上げられたフロア。
広く明るい入り口を、着のみ着のままの亜弥は、急いで通り抜けなければならなかった。

「サイズは? 大丈夫やった?」
「あ、あの、ムネがちょっと……キツイです」
「やかまし! ……ったく、最近の若い子は体ばっかり大きなってからに」

身長はそんなに変わらないんだけどな、と心の中で突っ込む。
結局、シンプルなジーンズとトレーナーを借りることにした。
着替えの前に、熱いシャワーも借りていた。人心地ついた亜弥はほっとため息をつく。
──それにしても……と、亜弥は改めて部屋を見渡した。
吹き抜けの広いリビング。豪華なソファー。メゾネットタイプの2階。

「すごいお部屋ですね。
 平家さん、一人で住んでるんですか?」
「いや、同居人が一人おるよ。今は出かけとるみたいやけど。
 あ、断っとくけど男や無いよ。お・ん・な、やからね」
「でも二人でこんな大きな部屋……」
「まあ、うちらが金出したわけでもないしな」
「ええ? どういうことですか?」
「人にはいろいろ事情があるっちゅーことやね。
 今のあんたみたいにな」
「あ……」


133 :名無しハンペン:04/02/28 16:49 ID:V4pQLfCK
思わず言葉に詰まった亜弥に、平家は声を掛けた。
立ったままの少女を見つめる目は、意外に優しい。

「もし行くとこあれへんやったら、しばらくここにおってもエエで。
 どうせ、部屋も余っとるんやし。もう一人おるんも悪い子やないから」
「……ありがとうございます。でも……」

亜弥は手の中のメモを握り締めた。
それは、父親があのとき渡してくれたもの。
亜弥が駆け寄ったとき、手の中に押し込んできたもの。
そこにはこう書かれていた。

『キャンプディアブロ跡地に来い。必ず一人で』

総一郎があの後どうなったかは分からない。
それでも行ってみなくてはならない。真実を知るためにも。
それに、亜弥を狙っている集団は恐ろしい相手だ。
これ以上、平家に迷惑を掛けるわけにはいかない。
関係ない人間を巻き込むことは出来ない。
亜弥はもう決心していた。

「あたし行かなきゃいけないところがあるんです」
「行かなきゃいけないところ? こんな時間にかいな」
「本当にありがとうございました。あたしこのことは絶対忘れません」

まっすぐこちらを見詰める亜弥の目。
それを見た平家は、ため息をつくとがしがしと頭をかいた。


134 :名無しハンペン:04/02/28 16:50 ID:V4pQLfCK
「そのトレーナー」
「え?」
「そのトレーナー、あたしのお気に入りやねん」
「え!? あ、あの、だったら別のに着替えて──」
「いや、ええよ。その代わり絶対返してな、トレーナー。……約束やで」
「平家さん……」

今までとは違い、真剣な目で見詰められた亜弥は、唇を引き結んで頷いた。

「分かりました。絶対お返しします。ここに返しに来ます」
「ん。ほな気ィつけて行っといで」
「はい!」

元気に出て行った亜弥を見送り、平家はソファーにどさりと寄りかかった。

「はー、なんでまた厄介な子と関わりになるかな。あたしは」

やれやれと首を振る。かちゃり、とドアの開く音がした。

「平家さん、今この部屋から誰か出てったみたいだけど」
「あ、お帰り明日香。いや、まあ話せば長いねんけどな」

だが帰ってきたばかりの少女は、平家の言葉が聞こえていないかのように目を細めた。

「今の子……。なんだろう、すごく気になる。
 平家さん、悪いけどまた留守番お願い」
「あれ? どっか出かけるんかいな。せっかく弁当買うてきたのに。
 おい、明日香、明日香ぁ!」

平家の声を背に受けながら、福田明日香は亜弥の後を追いかけ再び夜の街へと飛び出した。


135 :名無しハンペン:04/02/28 16:51 ID:V4pQLfCK
続く。

短いですが切りが良いのでここまで。明日で終わります。


136 :名無し天狗@携帯から:04/02/28 18:18 ID:+O6Bbcvk
オルフェノクとの接触…何やら波乱の予感!

137 :名無し天狗@携帯から:04/02/28 22:05 ID:+O6Bbcvk
うゎ…ageちゃった…
すみません。

138 :名無しハンペン:04/02/29 16:26 ID:18w2bDGf
>名無し天狗さん
レスありがとうございます。
では続きです。


139 :名無しハンペン:04/02/29 16:27 ID:18w2bDGf
キャンプディアブロ跡地。
ぼろぼろになった廃屋の前で、亜弥はバイクを止めた。
明かりのほとんど無い敷地は、何も見えないほどに暗い。
月明かりを頼りに、亜弥は父親を探した。

「父さん、父さーん」
「亜弥」

暗がりから声が届いた。
建物から現われた父の姿。安心した亜弥は急いで駆け寄る。

「父さん、無事だったのね」
「亜弥、お前も……心配したぞ」
「父さん。ゼティマって何? どういう関係なの?
 父さん……まさか」
「亜弥……私はお前が思っているとおりゼティマのメンバーだ」

亜弥はひゅっと息を飲む。
予想はしていたとはいえ、改めて聞くとやはりそれは衝撃的な告白であった。

「これから話す事は本当のことだ。落ち着いてよく聞いてくれ。」

そう前置きすると、総一郎は静かにしゃべり始めた。


140 :名無しハンペン:04/02/29 16:28 ID:18w2bDGf
「そう今から19年前のことだ。日食の闇が街を覆っていた。
 その日食の闇の中で美貴は生まれた」

亜弥は黙って父の話を聞いていた。いつも笑顔でいたその顔を、辛そうに歪めて。

「5万年に一度の日食の日、運命の子が生まれる。
 ゼティマの世紀王に選ばれる運命の子が。それは予め決められていたことだった」
「それが……それがミキたんだったって言うの?」
「そうだ。美貴は運命の子として選ばれた。ゼティマの王、改造人間の王として」
「そんな……。でも、でもそれじゃどうしてあたしが!」
「亜弥。私はお前を引き取り、私としてはお前を美貴と姉妹として、
 分け隔てなく育ててきたつもりだ。それだけは信じて欲しい」

突然、総一郎はそう言いだした。
続く言葉の意味を感じ取ったのか、亜弥は唇を噛み締める。

「世紀王となるべき運命の子は二人で一組になる。
 しかし19年前の日食の日、運命に選ばれた子は美貴だけだった。
 だが、ゼティマにはどうしてももう一人運命の子が必要だった。
 だから、私たちは造ることにしたんだ。運命の子を」
「造る?」
「そうだ。私とお前の父親の二人でな」
「パパが!?」
「私たち二人は、人工的に運命の子を造り出す研究をしていた。
 そして私たちは、運命の子と同じ因子を一人の胎児に埋め込んだのだ」
「まさか……それが……」
「そう、松浦は自分に授かった子にその実験を行った。それがお前なんだよ、亜弥」


141 :名無しハンペン:04/02/29 16:28 ID:18w2bDGf
信じられない事実を聞かされ、亜弥は目を見開いた。
ふっくらと艶やかな唇がわなわなと震える。

「実験は成功だった。
 だが、生まれた娘を見た松浦は自分のしでかした事を後悔した。
 だから、お前の因子を封印したんだ。
 そしてゼティマには失敗だったと嘘をついた。
 だが、そのせいで責任を取らされたヤツは……」
「責任……それじゃあの事故は!」
「ゼティマに目をつけられたら逃げられはしない。
 逆らうものには死が待っている。
 生き延びるためにはゼティマに従うしかないんだ」
「そんな! それじゃ父さんがあたしを引き取ったのは!?」
「違う! それは違う。
 松浦は私の親友だった。だからその意思を継いでやりたい。そう思ったんだ。
 引き取られた先で、お前が辛い目にあってた事を私は知った。
 だから私は、お前を引き取ったんだ。
 しかし、お前の事がゼティマにばれてしまった。
 やはり運命には逆らえない。私はそう思った」

うなだれる総一郎を見て、亜弥は拳を握り締めた。
溢れてくる感情を抑えきれず、涙声で叫んだ。


142 :名無しハンペン:04/02/29 16:30 ID:njEiG32y
「父さんは、父さんは悪魔の集団に私たちを売ったの!?
 あたしと……ミキたんを!
 あたしは、あたしは改造されてもう普通の人間じゃないんだよ」
「これからの世界はゼティマによって選ばれた人間しか生きられない。
 人類は淘汰されてしまうんだ。
 だから、お前と美貴だけは生き延びてくれ。ゼティマの世紀王となって。
 私は……私はそれだけで……」

泣きじゃくる娘の肩を総一郎は掴んだ。その目には真摯な光が溢れている。
親が子を思う気持ちに偽りはない。例えそれが間違ったものであったとしても。

「父さん、奴らは人間の自由を奪おうとしてるんだよ。
 そんなの……そんなのあたしは許せない。
 絶対に、あたしは奴らの思い通りにはならない。
 あたしは戦う。戦ってみせる。あたしと……ミキたんの運命を弄んだ奴らと!」
「亜弥……」
「父さん……父さんだって戦わなけりゃこの廃墟と同じじゃない。
 そんな父さん、見たくない!」

娘に諭され、総一郎は黙り込んだ。
不意にその首に白いものが巻き付く。

「うわあああ!」
「父さん!」


143 :名無しハンペン:04/02/29 16:31 ID:njEiG32y
白い糸に引きずられ、総一郎は地を滑っていった。
その後を追って亜弥は全力で走る。
そこへ横から何かが飛び掛ってきた。
引き倒され、あやはごろごろと地面を転がる。
顔を上げた亜弥の目の前にある醜悪な顔。
残酷な神が、気まぐれに蜘蛛と人間を混ぜ合わせたような不気味な顔。

「いやあああ!」

同じような怪人が、亜弥の周りを取り囲んでいた。
化け物たちが見守る中、ぎちぎちと音を立てて、クモ怪人の牙が亜弥の首筋に迫る。

「亜弥!」
「父さん!」

その牙をかわしながら、声のするほうを向く。
総一郎は糸に引っ張られ、鉄塔の上まで引き上げられていた。
父を助けるため、亜弥は必死で怪人を振りほどこうともがく。
だが、力ではとてもかないそうに無い。

「うわあああああ!」

総一郎の悲鳴が聞こえた。
その声がだんだんこちらに近づいてくる。
どさり、と重たいものが地面に落ちる音がした。

「父さん!? 父さん!」

横を向いた亜弥の目に入ったのは、人形のようにぐったりと四肢を投げ出した父の姿だった。


144 :名無しハンペン:04/02/29 16:34 ID:y9k0IzTy
──プツン。

亜弥の中で何かが弾けた
体の奥にあるどこかのスィッチが入った感覚。
細胞の一つ一つに、何かがみなぎってくる感じ。
上に乗っかっていたクモ怪人の頭をぐいと掴むと、強引に力ではねのける。

亜弥はゆっくり起き上がった。
周りを取り囲む怪人たちは、襲い掛かってくる様子は無い。
ただ怯えたように亜弥を取り巻くだけ。

体の底から湧きあがってくるイメージに誘われるように、亜弥は体を動かした。
力を貯めるようにぐっと腕を曲げる。
体内に埋め込まれたキングストーン周辺の細胞が、強烈な光とともにベルトの形を造った。
亜弥の右腕が自然に弧を描く。両腕が腕がぴしりと斜めに伸ばされた。

「変……身!」

ベルトの真ん中のエナジーリアクターがエネルギーを増幅して全身に送り出す。
特殊冬眠遺伝子・MBGの働きで亜弥の身体が変わっていく。バッタを模した異形の姿へと。
その身体を真っ黒な強化皮膚・リプラスフォームが覆いつくす。

変身は終了した。
しゅうと音を立てて、変身に使われたエネルギーが、蒸気となってリプラスフォームの
間から噴き出す。


145 :名無しハンペン:04/02/29 16:35 ID:bExrfREo
闇夜に浮かぶ漆黒の姿。
黒い戦士は一息にジャンプすると、父親の近くのクモ怪人を殴りつけた。
殴られた怪人は、奇妙な声をあげると、不気味な体液を撒き散らしながら崩れ落ちる。
それにかまわず、亜弥は父親を抱え起こした。

「父さん!」
「あ、亜弥、亜弥なのか……」

総一郎は目を開いた。しかし、その目にはもう力が無い。

「お、お前……そ、その姿は……仮面、ライダー。黒い、仮面ライダー」
「仮面ライダー?」
「ゼティマに、逆らう者達の、名前だ。
 自由のために戦う者達……その姿はバッタに似ていると……そう聞いていた」
「自由のために……戦う」
「だが、なぜお前が……。まさか、世紀王とは……」
「父さん! しっかり!」

亜弥の叫びが、途切れかけていた総一郎の意識を呼び覚ました。
しかし、それももう限界に近い。

「亜弥……美貴を……美貴を頼んだぞ」

がくりとその体が力を無くした。
亜弥の手に抱いた体が、急に重さを増す。

「父さん! そんな……」


146 :名無しハンペン:04/02/29 16:35 ID:bExrfREo
父親の亡骸をそこに横たえ、亜弥は立ち上がった。
ゆっくりと後ろを振り返る。
静かに溢れてくる気迫に、怪人たちは自然と後ずさった。

「うわああああ!」

大声で叫んで亜弥は怪人の群れに飛び込んだ。

その強さは圧倒的だった。
シンプルなパンチ。
ただそれだけで、怪人の体が吹き飛び、不気味な悲鳴が響き渡った。
その動きはまさに黒い疾風。
亜弥の体が動くたび、その拳が汚れた体を打ち抜いていく。

怒りに任せて殺戮を繰り返す亜弥の手に、白い糸が巻きついた。
混乱していたクモ怪人たちも、ようやく冷静さを取り戻したようだった。
一人一人の力では敵わない。しかし、数では圧倒的に怪人側が有利だ。

亜弥の両手両足にも糸が巻きついた。
何本も絡み合った糸は、亜弥の力をもってしても簡単にちぎれそうに無い。

「うう……くっ!」

亜弥は自由を求めてもがく。
しかしクモ怪人たちは、円を描くように移動し、うまくその力を分散させてしまう。
身動きの取れなくなった亜弥に、別のクモ怪人が飛び掛った。
月明かりに、はえ揃った牙がぎらりと光る。


147 :名無しハンペン:04/02/29 16:36 ID:bExrfREo
どん、と音がして亜弥の右手が自由になった。
飛び掛ってきた相手の顔が、カウンターのパンチで弾け飛ぶ。

亜弥は自由になった右手を見た。
どこからか飛んできて、亜弥の拘束を断ったもの。
地面に突き立ったそれは、大きな一本の剣だった。

再び糸が吹き付けられる。
それをかわし、亜弥は全身の糸を手刀で切り裂いた。
返す刀で、クモ怪人にもチョップを食らわせる。
亜弥の右手が、怪人の体の半ばまで食い込んだ。

怪人たちは再び混乱に追い込まれた。
統制の取れなくなった相手は、もう敵ではない。
亜弥はベルトに手を当てた。
キングストーンから生まれ出たエネルギーが、その右手に宿る。
亜弥はぐいっと顔を上げた。
流れるような動きで、怪人に次々と拳をぶち当てる。
あっという間に、その場に立っている怪人は、もう最後の一匹になっていた。

「やあああ!」

亜弥は空中に飛び上がった。
足先に力をこめ、ぐんと体を伸ばす。
華麗なフォームで繰り出される飛び蹴り。
空気との摩擦で足先が赤熱する。


148 :名無しハンペン:04/02/29 16:37 ID:bExrfREo
キックを食らったクモ怪人は、後ろに大きく吹き飛んだ。
よろよろと立ち上がった後、ばたりと倒れる。
爆発の閃光が、夜の明け始めた敷地を照らし出した。

着地の態勢から、亜弥はゆっくり立ち上がった。
その姿は既に元の、愛らしい少女のものに変わっていた。

じっとその手を見つめる。
キズ一つない、白くしなやかな指先。
しかし、今の自分はもう普通の人間ではない。
先ほどの力、ヒトならざるものの力。もう、元には戻れないのだ。
そのことをまざまざと実感する。

ふと、亜弥は思い出したように顔を上げた。
顔を横に向ける。
地面に突き刺さったままの剣。
自分を助けてくれたあの剣は、一体誰が、何のために投げてきたのか。


149 :名無しハンペン:04/02/29 16:37 ID:bExrfREo
後ろから聞こえてきた足音に亜弥は振り返った。
こちらに近づいてくる小柄な少女。
思わず身構える亜弥に、少女は静かに話し掛けた。

「心配しないで。あたしは敵じゃないわ」

少女は地面に突き刺さっていた剣へと歩み寄った。
そしておもむろにそれを引き抜く。
奇妙な音とともに、一瞬の内に少女の体は別のものに変わっていた。
チェスの駒に似た、鎧とも生物とも判別のつかない姿形。

「あ、あなたも!?」
「そう、あたしもよ。ヒトではない力を持ったもの」

再び少女は元の姿に戻った。同時に剣もどこかに消えてしまう。

「じゃあ、さっき助けてくれたのはあなたなんですか?」
「言ったでしょ。あたしは敵じゃないって。
 むしろ、あたしはあなたに力を貸してあげられると思うわ」
「力?」
「そう、仲間として……ね。
 あなたが戦おうとしている相手は、恐ろしい力を持ってる。
 残念だけど、一人じゃ勝ち目はないよ」
「仲間って……もしかして他にもまだこんな力を持った人がいるんですか?
 あ、でもどうしてあたしの事……」
「あたしは福田明日香。平家さんの同居人なの。
 部屋から出てくるあなたを見かけてね、それで追いかけてきたってわけ」


150 :名無しハンペン:04/02/29 16:38 ID:bExrfREo
「平家さんの!? それじゃまさか」
「ええ、平家さんもあたしと同じ。オルフェノクよ」

偶然か、運命か。
不思議な因縁を感じ、亜弥は思わず言葉を失った。
福田は亜弥の前に立つと、軽く目を細める。

「ねえ、聞かせて。
 あなたは何者なの? あなたのさっきの姿、あれは一体何?
 あなたもオルフェノクなの?」
「オルフェノク……。
 いいえ、違います。あたしはオルフェノクじゃない」

亜弥の記憶に、先ほどの父の言葉が蘇った。
自由のために戦う戦士の名前。
そう、これから亜弥は戦い続けなければいけない。
自由を取り戻すため、そして美貴を助け出すために。
だからこそ名乗るのだ。ゼティマへの反逆の意味をこめて。

「あたしは……あたしは仮面ライダー。
 仮面ライダーBLACK!」

決意を込めた亜弥の叫びが、朝靄の中に響き渡った。



第54話 「黒き太陽」 ──終──


151 :名無しハンペン:04/02/29 16:43 ID:bExrfREo
実は1からキャラクターを造るのは今回初めてだったりします。
松浦自体、他のスレでもあまり書いたことがなかったので、いろいろビデオなどで研究して
かなり自分好みのキャラにしてしまいました。その結果……。
まじで松浦にハマってしまいました。ヤベー、アヤヤカワイイヨアヤヤ


152 :名無し募集中。。。:04/02/29 18:50 ID:jcMi55lm
松浦BLACKついに登場。面白かったでつよ。今後はあやみき同士の戦いと葛藤の
ストーリーとかあったりするのかな?

153 :名無し募集中。。。:04/03/01 01:00 ID:BlwOp7WE
初めからイッキに読んでしまいました。自分も特撮好きモーヲタなんで
読んでてすごい楽しいですw

ところで、仮面ライダーののX以降のログとかは無いんでしょうか?
あと、まとめサイトとかあるといいなぁって思うんですが。

無理ですかね?

154 :名無し募集中。。。:04/03/01 01:48 ID:M/IMwR/A
>>153
jane用datだけど
http://non-stop.maxs.jp/up/source/tsuji1948.zip

155 :名無し募集中。。。:04/03/01 02:08 ID:BlwOp7WE
>>154
キタ━━(●´ー`)━━ノリ川(●´)━━(川川)━━(´○ノ川━━~~-y(`ー´○)━━!!
と思ったのですが、自分が読みたいのは
仮面ライダーのの555(ファイズ)
仮面ライダーののアギト
仮面ライダーののBLACK

ここら辺なんですよねぇ・・・せっかくあげてもらったのに申し訳ありません。

156 :名無し募集中。。。:04/03/01 02:11 ID:t0TyGGH7
jbbsにまとめサイトがある。

過去ログはないけどね・・・
ttp://jbbs.shitaraba.com/music/6849/

157 :名無し天狗(実家より):04/03/01 11:07 ID:KsALoK+M
>名無しハンペンさん
素晴らしいストーリーをありがとうございます!
今後に期待です。

>ALL作家様&ROMの皆様
スイマセンがチョット複雑な事情がありまして
あまり頻繁に来ることが出来なくなりました。
執筆の方は、いつになるかわかりませんが
「落ち着き次第」再開しようと思いますのでご了承下さい。
当分は保全のみになってしまいます…本当に申し訳ありません。

158 :名無し募集中。。。:04/03/01 14:39 ID:/kkFHfKI
>>155
かちゅ用でよければ手元にあります。
適当なアプロダ教えてもらえればUPできますよ。

159 :名無し募集中。。。:04/03/01 15:01 ID:BlwOp7WE
>>158
む・・・自分が使ってるのはJaneなんですけど、互換性あるんですかね?
しかも、アプロダは詳しくないのでわかりませんです。申し訳。

160 :158:04/03/01 19:00 ID:OeJVs1d8
よく考えたら●持ってるんだった。てことでjane用も用意しました。
上にあったあぷろだに上げときます。
http://non-stop.maxs.jp/up/source/tsuji1951.zip
ついでにかちゅ用も置いときます。
http://non-stop.maxs.jp/up/source/tsuji1952.zip


161 :ナナシマン:04/03/01 22:44 ID:w22f+wOb
取り急ぎレスのみ失礼します。

>>157
 読んで頂けているだけでもありがたいことですが、その上参加して頂けた事には
僕自身とても感謝してます。事情もおありのご様子ですのでご無理なさらぬよう、
まずはご自身の事を優先されてください。その上で今後ともお付き合い頂ければ
幸いです。

>>160
 本来なら僕の方で用意しなければならないところだったと思いますが、お手数を
おかけして申し訳ありません。

162 :燃えろ!兄弟拳:04/03/01 23:03 ID:GxZZ0olW
川σ_σ||<始めるよ。   ( `_´)<始まるよ!

川σ_σ||<久々のいんたーみっしょん。( `_´)<次のお話までの繋ぎです。


「よしっ!いた!」

矢口はそう言うと無線機を手にする。
今現在矢口がいる建物にはホッパーがアンテナに偽装されて立っていた。

「ボス、圭ちゃん、そっちの方にいるよ。
 今いる大通りから二つ目の信号を右折、三本目の路地!」
「こちら斉藤、了解。これより追跡を開始する」

矢口からの連絡を受けたハローワーク商会の「ボス」こと斉藤は
指示通り車を走らせた。


163 :燃えろ!兄弟拳:04/03/01 23:04 ID:GxZZ0olW
             いんたーみっしょん
            【戦え!ペット探偵!】

ハローワーク商会のペット探偵業は順調に売上を伸ばしていた。
もっともそれは矢口や、保田達がいての事である。
本日は行方不明になった猫の捜索の仕事が入ったので
斉藤、矢口、保田のチームで仕事を行っていた。

「さて、ここか・・・・矢口、路地に着いたけどまだいる?」

無線機に呼びかける斉藤。

「うん、まだいるよ。丁度2人がいる真上。見えない?」

捜している猫は建物の上にいる様だ。斉藤が見上げると
丁度建物の窓のところにいた。

「何だよ、あんなとこにいやがって・・・・仕方ない、上に行くか・・」

斉藤は建物の階段を上って行こうとすると

「任せて!」

保田はそう言うなり勢い良く走り出し、建物の僅かな凹凸を利用して
器用に壁を登るとあっという間に猫を捕まえて戻って来た。


164 :燃えろ!兄弟拳:04/03/01 23:06 ID:n/Qm7VD3
「・・・・・圭ちゃん・・・・・・やっぱ凄いわ・・・・」

保田の人間離れした動きに呆然とする斉藤、
だが次の瞬間ハッとしたように周りを見渡した。

「・・・・・誰にも見られてないな・・・・ふぅ・・・圭ちゃん頼むよ
 そう言う事やる時はこっちで言うからさぁ」

あんな動きを他人に目撃されたらそれこそ大騒ぎである。
そんな斉藤の心配を気にしないかの様に保田は笑うだけであった。

それから2時間後、場所はハローワーク商会の事務所。
事務所には猫の飼い主が訪れていた。

「ありがとうございます。この子ったらいつの間にかいなくなってて・・・」

飼い主がそう言って猫をなでていると

「失礼ですが、そちらの猫ちゃんは少々過保護の様ですね。
 部屋の中に閉じ込めておくだけでじゃ駄目ですよ」

斉藤はそう言うと領収書を渡した。


165 :燃えろ!兄弟拳:04/03/01 23:07 ID:n/Qm7VD3
「えっ?どうして解るんですか?確かにこの子には一部屋与えて
 そこにいつも置いておりますが・・・・」
「はっきり言って運動不足から来るストレスが原因で逃げ出したと思います。
 こちらも職業柄ペットについての勉強もやっていますからね。
 せっかく見つけたのにまた逃げ出したりしてら大変でしょう。
 その後のアフターケアもサービスの一環ですよ。
 ですから少しはその子を自由にさせてあげて下さい」

斉藤が笑顔でそう言うと飼い主は「解りました」と言って
更に一万円、お礼として置いて行った。

「ふはははは・・・どうよ、これこそ最高のサービスでしょ。
 あんな「一日いくら」なんて商売やってる所は駄目だよ。
 そこ行くとうちは一調査10万円。だいたい二日でケリがつくし
 こうやってアドバイス料も貰えるからね。おいしいよ」

ほくほく顔の斉藤に矢口が手を出した。

「んじゃお給料頂戴!」
「はいよ、じゃあ圭ちゃんと矢口で4万円ね、
 それからお礼の一万円は圭ちゃんに」

斉藤はそう言うと合計5万円を2人に手渡す。
斉藤が飼い主に言った猫のストレスのアドバイスは
保田が「猫がそう言っている」と言ってたから出来た事なのである。


166 :燃えろ!兄弟拳:04/03/01 23:09 ID:OFNVeOr+
「いつも悪いね。こんな割の良い仕事なんて今まで無かったよ。
 でもさ、こんなに貰っちゃって大丈夫なの?」
「平気だよ、脱税なんかしてないし、なんと言ってもFBIからの入金は
 非課税だからね。実際の申告より会社の収入は多いんだよ」
「そっか、それじゃ安心だね。だったらオイラ達の取り分もっと増やしてよ」

矢口がそう言うと斉藤は笑顔で言った。

「それは無理だなぁ。だいいち働き分に合った給料しか出すなって
 中澤さんに言われてるし、こっちの取り分もあるし、後は・・・」

斉藤がそう言いかけた時であった。

「お邪魔しますよ!」

柄の悪い2人組がハローワーク商会にやって来た。
見るからにその筋の人ですと言わんばかりの風体に
思わず矢口は笑い出しそうになっていた。


167 :燃えろ!兄弟拳:04/03/01 23:10 ID:OFNVeOr+
「いらっしゃいませ、ハローワーク商会にようこそ。
 本日はどのようなご依頼でしょうか?」

斉藤が2人組に椅子を勧めると柴田がお茶を持って来た。

「いやね、別に仕事の依頼で来た訳じゃないんですよ。
 実は最近こちらの評判を耳にしましてね。
 何でも格安でペットを探し出すとか・・・すごいですねぇ」
「いやーそれ程でも・・・まあでも値段なら何処にも負けないと思います」
「そうですかぁ〜。でもね〜・・・・それがこちらには具合が悪いんですよ。
 実はね、私の所も同じ商売をやっておりましてね。
 お客をみんなこちらにとられてしまいまして・・・・」
「そうですか、それは悪いですね。でもこちらも商売ですから
 お客様のニーズに合わせるのはご時世でしょ」
「そうですね。それも大事ですが・・・・ねえ斉藤さん、
 やっぱり同じ仕事をやるもの同士お互いに上手くやって行きましょうや」

斉藤と2人組のやり取りを見ていた矢口はそこでやっと
こいつらが何しに来たのかが解った。


168 :燃えろ!兄弟拳:04/03/01 23:12 ID:15OYT8Ic
本日はここで切ります。
2・3日で終了の予定でございます。

169 :燃えろ!兄弟拳:04/03/01 23:15 ID:15OYT8Ic
いけね。最初に入れ忘れた。

このお話はハローワーク商会ペット探偵開業当時のお話です。
なので現在の時間を遡ってご覧下さい。

170 :名無し天狗(実家より):04/03/02 11:35 ID:Pj8cefs3
>兄弟拳さん
誠に相済みませんです。

「監視」の目をくぐって保全。(今はこのくらいしか…)

171 :名無し天狗(実家より):04/03/02 11:36 ID:Pj8cefs3
>ナナシマンさん
誠に相済みませんです。

「監視」の目をくぐって保全。(今はこのくらいしか…)

172 :名無し一等海士:04/03/02 20:39 ID:1CxXP/VB
名無し天狗さん
>「監視」の目をくぐって保全。(今はこのくらいしか…)
大変でしょうけどナナシマンの言うとおり自分のことを優先してください

173 :燃えろ!兄弟拳:04/03/02 22:41 ID:mXXiINAe
続きです!

「なんだよ、それって談合じゃんか」
「お嬢さん、人聞きの悪い事言っちゃいけませんよ。
 私達は談合に来てる訳じゃないですよ」
「じゃあ、何だよ?」
「せっかちな人ですね。でははっきり言いましょう。
 ハロ−ワーク商会も私達の事務所の傘下に入っていただきます」

2人組はそう言うと名刺を差し出した。そこには
「ギャラクシーカンパニー」と書かれていた。
ギャラクシーカンパニーとは最近良くない噂を聞く探偵事務所である。

「なるほどね、ギャラクシーさんでしたか、ではこちらもはっきり言いますね。
 そのお話はきっぱりとお断りします」

斉藤は名刺を手にしながら笑顔で答えた。

「おや、そうですか・・・まさか斉藤さんは、うちがどんな所か
 知らない訳じゃないですよね?」
「勿論知ってますよ。悪徳業者でそのバックに暴力団がついてる事も」

斉藤がそう言った瞬間、2人組の顔色が変わった。

174 :燃えろ!兄弟拳:04/03/02 22:42 ID:mXXiINAe
「暴れても構わないですけどここにある家具はオーダーメードだから
 高いですよ。たぶんあんた達のシノギじゃ買えない物ばっかりだよ」

斉藤はその場に座ったまま余裕の表情を浮かべていた。
確かにハローワーク商会の事務所にある家具は
全てインテリアショップ「ペガサス」のオーダーメードである。
だがそれ程高いと言う訳でもない。
イチビる2人組に斉藤はハッタリをかましたのだ。

「さすが大吉さんの娘だけあるな。度胸が据わってやがる」

 この業界では斉藤大吉の名は意外に知られている。
何処から聞きつけたのかFBIとつながりがあるとさえ噂されていた。

「だがな、ちょっと調子に乗りすぎたみたいだな」

2人組の1人がそう言って斉藤に殴りかかろうとした時であった。
突然2人組の身体が持ち上がった。

「何だ?」

慌てた2人組が後ろを振り返るとそこには大男が立っている。


175 :燃えろ!兄弟拳:04/03/02 22:43 ID:mXXiINAe
「何だてめえは?」
「おとなしく帰るか、それとも痛い目をみるか・・・どっちを選ぶかな?」

大男はそう言って2人組を睨みつける。
ただならぬその男の威圧感。
「こいつには勝てない」そう思ったのであろう、2人組はおとなしく
引き上げて行った。

「弁慶さん、ちょうどいい所に来てくれたね」

矢口がそう言うと

「NO、彼はこの事務所の用心棒」

斉藤が言う。

「へっ?そうなの?でも用心棒なんていらないじゃん、
 オイラ達に勝てるやつなてそうはいないと思うけど・・・」

矢口がそう言うと斉藤は笑いながら言った。


176 :燃えろ!兄弟拳:04/03/02 22:44 ID:lANMvHlX
「確かに、今の連中をぶっ飛ばすくらいは、私とあゆみでも出来るし
 もっと大人数で来られても、今いる4人に勝てる連中なんてそうはいない。
 でもね、解るでしょ、矢口も圭ちゃんも女の子なんだよ
 もっとさ、普段から普通にしようよ。普通の女の子みたくさ・・・」
「・・・・解ってるよ・・でもボスにはオイラ達の気持ちなんて・・・」

そう言いかけた矢口はハッとする。

「ごめん・・・・オイラ達を心配してくれてるんだよね・・・」
「確かに私達は生身の人間だから矢口達の気持ちは解らない・・・
 でもね、だからこそみんなには普通の女の子でいて貰いたいの。
 それにみんなはあまりそう言う事考えていないみたいだけど、
 人間を改造する技術があるならそれを元に戻す技術だって
 あるかもしれないじゃん」

斉藤がそう言うと矢口は小さく頷いた。


177 :燃えろ!兄弟拳:04/03/02 22:45 ID:lANMvHlX
「うん・・・・」
「諦めちゃ駄目だよ。実はね、これはみんなには言って欲しくないんだけど
 余計な期待を持たせるだけだから・・・」
「何?」
「稲葉さんとお父さんにね、捜して貰ってるの。そう言った技術が
 何処かに無いかって・・・。望みは薄いけど・・・・」
「ホント?・・・・・ありがとう・・・・」

矢口の目に涙が浮かぶ。
「普通の女の子でいたい」・・・これは中澤家の面々が誰しも心の隅に
持っている気持ちである。だが今の状況はそれを許してはくれない。
そんな矢口達の気持ちを仲間である斉藤は良く解っているつもりであった。
だが実際は自分は生身の人間である。
瀕死の重傷を負って、仕方のない決断の上に改造された矢口達の
本当の苦悩など解る筈もない。
ならばせめて自分ができる事をやろう。斉藤がそう思った時に
柴田が提案したのがペット探偵であった。
しかしそれを始めれば今回の様な事が起こる事は解っていた。
だからイマイチ決断できなかったのだが
中澤家の面々のすれ違い、飯田と安倍の喧嘩の話など
自分達ならそれ程気にしない事が中澤家では起こっている事を知って
ならば自分も仲間である以上、「リスクを負うべきではないのか?」
そう考えてペット探偵の開業を決意したのだ。
弁慶に用心棒を頼んだのも矢口達にここにいる時くらいは
普通にして欲しいと考えていたからなのである。


178 :燃えろ!兄弟拳:04/03/02 22:48 ID:lANMvHlX
今日はここで切ります。
おやすみなさい。

179 :名無し募集中。。。:04/03/03 03:30 ID:icP9Vdei
>>158
いまいちJaneの使い方を熟知してなかったので、試行錯誤しながら
ようやく見れるようになりました。ホントありがとうございます(´Д⊂
これでやっと現行スレに追いつけます。作者さんがんばってください。

180 :燃えろ!兄弟拳:04/03/03 23:14 ID:nxF7z/mC
続きです。

「本当ならさ、みんなの年齢だったら普通に学生やってたり
 普通に社会人やってたりしてる筈じゃない。
 友達と遊びに行って旅行して・・・・
 実際何も知らない人達はそうしてる。アホみたいな連中の存在なんか
 知らないから、遊んだり、普通に仕事したり、勉強したり・・・・
 きっと私だって雅恵やめぐみがあんなじゃなかったら、
 みんなの事知らなかったらそうしてた。
 でもそんなの変じゃん!おかしいよ!何で矢口や圭ちゃん達だけが
 そんな普通の事が出来ないの?周りの人達がああやって何も知らないで
 いられるのはみんなが頑張ってるからでしょ?
 だったらみんなだって少しでもいい、普通の女の子らしくしようよ」

斉藤の言葉に矢口は黙って頷く。
実際最近の自分達はみんなで遊びに行ける時間が増えた。
改めてそう感じたのは今の斉藤の言葉があっての事だ。
苦しいのは自分達だけじゃない。
その苦しみを理解してくれようとする仲間達だって
自分達と同じ位悩んでいたのだ。
中澤は立場上、みんなの普通の生活を考える前にどうしても
戦いを優先してしまう。これは仕方の無い事だ。
しかし斉藤達は違った。普通の人間としての生活
それを必死になって考えてくれていたのだ。


181 :燃えろ!兄弟拳:04/03/03 23:15 ID:nxF7z/mC
「ありがとう・・・・ホント・・・オイラ嬉しいよ・・・・
 正直言って悔しかった・・・・他の・・何も知らない子達は
 普通に生活してるのに・・・なんでオイラ達だけこんな事やってるんだって
 でも違った・・・・少なくともボスと柴ちゃんと大谷ちゃんと
 村田ちゃんは解ってくれた。それに弁慶さんや稲葉さんだってそうだ
 みんな・・・オイラ達の事知ってる人はそうなんだよね・・・
 ごめん・・・勘違いしてたよ」

矢口は涙を浮かべながら、けれど嬉しそうに笑った。

「でも油断はしない事。まだまだ全てが終った訳じゃないしね。
 これからやらなくちゃいけない事はいっぱいあるんだから・・・・
 でも、私も感謝してるよ・・・本当にありがとう・・・」

保田もまた涙を浮かべながらも笑顔でこう言った。

「そんな改まって言われると照れちゃうけど、
 それが私達に出来る精一杯の協力かな・・・・?
 本当の戦いになったら私達は足手まといになりそうだからね。
 雅恵やめぐみだってきっとそう考えてるよ。
 口には出さないけど・・・・・・・・ってうるさいなぁ」

斉藤がそう言った時、事務所の前に数台の車がとまる音が聞こえて来た。

「どうやら、バカどもが仲間を連れて来た様だな・・」

弁慶は表を見ながら言った。

182 :燃えろ!兄弟拳:04/03/03 23:16 ID:nxF7z/mC
「まったく・・・・こまった連中だ・・・少し痛い目みないと解んないみたいだね」
「あれ?ボス、それはいいの?連中をんでシバクんでしょ?」
「それとこれは別!商売の邪魔をする奴はぶっ飛ばせ!」

そう言って斉藤達が表に出ようとした時

「こら、そんな所に車止めるな!邪魔だろうが!」
「うるせー!引っ込んでろ!」
「なんだとー!」

大谷と外の連中の怒鳴り合う声が聞こえて来た。

「やれやれ・・・こっちが行く前に向こうがキレか・・・・」

ハローワーク商会のお隣は勿論、インテリアショップ「ペガサス」である。
店の前に車を止められた大谷と村田が怒って飛び出して行ったのだ。
慌てて外に出て行った斉藤達であったが、そこには既に大谷と村田に
やられた男達が横たわっている。2人が最後の1人を倒そうとした時

「ストップ!」

斉藤が2人を止めた。


183 :燃えろ!兄弟拳:04/03/03 23:16 ID:nxF7z/mC
「なんだよ!」
「悪い悪い、そいつら、こっちに用があって来た連中なんだ」
「だったらちゃんと言っとけ!ここはペガサスの駐車場だ!」
「へいへい・・・すんませんでした・・・さてと・・・・」

斉藤はそう言うと残った1人を締め上げる。

「そんじゃ、親分の所に案内して貰いましょうか?」
「待ってくれ・・・そんな事したら俺が酷い目に・・・」

男は情けない目で懇願する。

「言わないならここで酷い目に合うか・・・」

弁慶が拳を握り締めた。

「わっ、解った・・・案内する・・・だから・・・・」
「承知した、安心しろ。お前らの組織は今日で終わりだ。
 気の毒だがお前は失業だ。明日からまともな仕事を探すんだな」

弁慶はそう言うと拳を下ろす。
こうなったら仕方が無い、男は覚悟を決めると斉藤達を案内するべく
斉藤、矢口、保田、弁慶のの4人を車に乗せると出発した。


184 :燃えろ!兄弟拳:04/03/03 23:18 ID:nxF7z/mC
「なんなんだよ・・・こいつらは・・・・」

まだその場に気絶する残された男の仲間達を見て大谷が言う。

「本当にごめんね、実は・・・」

柴田が2人に事の詳細を説明する。納得したした2人は
その場にのびている男たちを起こした。

「ほれ、起きろ、商売の邪魔だ!」

哀れにも横たわる男達に容赦なく蹴りを入れる大谷、
最近店の売上が伸びずイライラしていた所だったので
ここぞとばかりの八つ当たりであった。

「う・・・ん・・・」

目を覚ました男達は起き上がると言う。


185 :燃えろ!兄弟拳:04/03/03 23:19 ID:nxF7z/mC
「・・・・お前達何もんだ?只者じゃねーよな?
 それともただヤクザに喧嘩売るアホか?」
「どう言う意味だよ?」
「ワカラねーのか?要は仕返しがあるって事だよ。
 これでも俺たちゃぁ紫龍会だぞ。聞いたことくらいあるだろう?
 この国でもそれなりの組織だ。怖くないのか?
「何が?」
「要は素人さんが勝てる相手じゃねーって事だよ」

男たちは勝ち誇ったに言う。だがその場の3人は普通だった。

「それで?どうなる訳?」
「お前達は知らんだろうが紫龍会はアジアンマフィアともつながりがある
 そして俺たちはその傘下の組織の人間って事だ。
 お前達に逃げ道は無いぞ」
「ふーん、でも今仲間がその傘下の組織とやらをぶっ潰しに行ったけど?」
「何?・・・・バカなやつらだ。そんなことしたら命がいくつあったって
 足りる訳がない。可哀想に、お前達の仲間は帰って来ないぞ!」
「まったく・・・チンピラは・・・すぐそう言う事言うんだから。
 バックがどうとか、俺達の親分はどうとか・・・ちっとはさあ
自分の力でどうにかしようとか思わない訳?」

大谷や村田があきれた様な表情を浮かべる。
すると男達はそれでも続けた。


186 :燃えろ!兄弟拳:04/03/03 23:20 ID:nxF7z/mC
「何とでも言いやがれ!結局強いバックがある奴が勝つんだ!」
「はぁー・・・情けない・・・これだからチンピラは・・・」
「随分と余裕だな、それも今の内だけだがな」

強がる男達であったがそれもそこまでであった。

「もう、今強がったってしょうがないでしょ?立場解ってんの?」

柴田はそういうと構える。

「赤心旋風脚!」

そう叫んだ柴田の右足が男達の車のドアに大きなへこみを作る。

「げ!何なんだこいつらは・・・・すみませんでした。勘弁して下さい」

男達はそう言うとあっという間に逃げ出していった。

「口ほどにもない・・・・」

大谷はそう言うと村田と共に店に戻り、柴田もそれに続く。


187 :燃えろ!兄弟拳:04/03/03 23:21 ID:nxF7z/mC
今日はここで切ります。
予定より少しのびそう。

188 :名無し募集中。。。:04/03/03 23:25 ID:4AEPyOuL
乙。こういうサイドストーリーがあると世界観に深さが出るね。

189 :燃えろ!兄弟拳:04/03/04 23:51 ID:oECVP2th
続きです。


一方斉藤達は・・・・

「邪魔するよ!」

紫龍会と書かれた事務所らしき建物に乗り込むなり斉藤が言い放つ。
突然の訪問者に中にいた人間は一瞬唖然としていた。

「なんだテメーらは?」

すぐに元気のいい連中が騒ぎ出した。
だが4人は悠然と歩き出すと部屋の奥に座っている男の前に進んで行った。

「貴方が親分さん?」
「おたくらは?」
「初めまして、ハローワーク商会の斉藤です」
「ハローワーク商会・・・・ああ、貴女が・・・で今日はどんな御用で?」
「聞かなくても解ってるでしょ?随分とナメタまねしてくれたからその御礼にね」
「はははは・・・御礼か。随分と威勢がいいな。だがいつまでそうしていられるかな?」

そう言って紫龍会親分が立ち上がった時であった。

190 :燃えろ!兄弟拳:04/03/04 23:52 ID:oECVP2th
「全員動くな!警察だ!麻薬取り締まり法違反の容疑で全員逮捕する!」

突然警察がなだれ込んで来た。
騒然とする現場に危うく斉藤達まで逮捕されそうになった時であった。

「あれ?ひょっとして斉藤さんですか?」

一人の女性が声をかけて来た。

「斉藤ですが貴女は?」
「私はFBIの石井リカです。斉藤さん達の事は稲葉から聞いています。
 しかしどうしてまたこんなところに?」
「実は・・・・」

斉藤は成り行きを石井に話した。

「そうですか、では今日はお引取り下さい。こちらも特命で動いていますので
 見なかった事にします。この仕事も稲葉から引き継いだ物なので
 余計な仕事はこちらも増やしたくないですし・・・・」

石井はそう言うときびきびと指示を出し現場の混乱を収めると帰り支度を始めた。


191 :燃えろ!兄弟拳:04/03/04 23:53 ID:oECVP2th
「それでは皆さん、私はこれで・・・・」

石井がそう言って帰ろうとすると

「ちょっと待ってください。石井さん、お願いがあるんですけど・・・」

斉藤が石井に言う。

「何でしょう?」
「あの実は・・・私達ここ来るのにあいつらの車で来たから帰りの足がなくて・・・」
「ちょっとボス・・・図々しいよ・・・」

斉藤の言葉に矢口が慌てて止める。
その様子を見ていた石井は薄笑いを浮かべると頷いた。

「良いですよ。ご自宅まで送ります。乗ってください」

石井はそう言うと一台のミニバンを指差した。
全員が乗り込むと石井は車を発進させる。


192 :燃えろ!兄弟拳:04/03/04 23:53 ID:oECVP2th
「どうもすみません無理言っちゃって・・・」
「良いですよ。それに皆さんともお話したかったし。
 えーっと、今ここにいるのは・・斉藤さん、矢口さん、保田さんで合ってます?」
「はい」
「そちらの男性は?」
「弁慶と申します」
「ああ、弁慶さんですか。貴方の事も稲葉から聞いてます。
 で、いきなり本題なんですけど、あの紫龍会はぶっちゃけると
 ゼティマとの繋がりがあります。で稲葉さんにその事を連絡したら
 もしかしたらあなた達とハチあわせるかも知れないからって・・・
 まさか本当にいるなんて思っていなかったからびっくりしましたよ」

石井の話によく訳が解らないまま頷く4人。

「石井さんも、ゼティマを追ってるんですか?」
「いえ、私は麻薬専門です。ただその追ってる麻薬組織が
 ゼティマと絡んでいる事が多くて・・・元々稲葉さんも私の先輩で
 一緒に仕事してたので色々と情報交換はしてるんですよ」
「そうだったんですか・・・・じゃあおいら達の事も・・・・」
「はい、聞いています。どんな事情があるのかもね。
 でも心配しないで下さい。その事を知っているのは
 稲葉さん達のチームと私を含めて数人です」
「そうですか。それを聞いて安心しました」
「稲葉さんもそうですけど、私だって皆さんは同じ仲間だと思っています。
 勿論同等の立場の人間としてです」

石井に言葉に矢口が少し表情を歪める。


193 :燃えろ!兄弟拳:04/03/04 23:54 ID:oECVP2th
「勘違いしないで下さい。私だって奴らの為に
 多くの仲間や友人を失っています。だから皆さんと同じなんです」

そう言う石井の言葉に矢口の表情が元に戻った。
ここにもう一人辛い思いをした仲間がいる事が解ったからだ。

「ごめんなさい、おいらまた・・・・」
「いえ、私の言い方も悪かったみたいですね。ごめんなさい」

そうこうしているうちに車はハローワーク商会にたどり着いた。

「ありがとうございました。本当に助かりました」
「いえ、私も皆さんにお会いできて良かったです。
 本当・・・稲葉から聞いていた通りの人達で・・・・
 では、またいつかお会いする事もあるでしょうからそれまでお元気で・・・」
「はい、石井さんも・・・」

そう言うと石井は帰って行った。4人はそれを見えなくなるまで見送る。

194 :燃えろ!兄弟拳:04/03/04 23:55 ID:oECVP2th
「今の誰?」

斉藤達が帰ってきたのが解った大谷が外に出てきた。

「新しい仲間だよ」
「は?」
「稲葉さんの後輩だって・・・」
「ふーん・・・・」

斉藤の言葉に大谷はただそう言うだけであった。
一瞬見ただけであったが大谷も何か感じ取ったのだろうか?
それ以上は聞こうとはしなかった。
同じ悲しみを持つ者同士が共に戦う。
今の彼女達にはそれだけで充分なのかもしれない。

              いんたーみっしょん
             【戦え!ペット探偵!】
                 終わり

195 :燃えろ!兄弟拳:04/03/04 23:57 ID:6jlqJ2aO
以上で今回は終わりです。
読んでいただいた皆様、ありがとうございました。



196 :保全:04/03/05 22:48 ID:pvHIvflC
やるせない思いに少女はただ意味も無く歩いていた。

「緑の大地、四季の花々・・・」

本当ならば一緒に楽しめた筈の親友は今どうなっているのか?

「一緒に歩いた白い砂浜、一緒に拾った桜貝・・・」

思い出の砂浜をただ歩き続ける。
何を信じたら良いのか、自分は今どうしたら良いのか?
少女は何も解らなかった。

「まだ人の胸にぬくもりがあって、まだ海がコバルトの時代・・・
 あの頃は良かった・・・古き良き時・・・・」

1人になってまだ数日であったが遠い昔の様な記憶。

「あの頃がずっと・・・ずっと続いて欲しかった・・・・」

悲しみに震える少女、仮面ライダーBLACKこと松浦の戦いは
まだ始まったばかりである

197 :名無し募集中。。。:04/03/05 23:16 ID:He6o4lK+
>>196
乙。雰囲気がBLACKっぽくていいかも。

198 :名無し募集中。。。:04/03/06 00:33 ID:l5H6qZyn
>>196
LONG LONG AGO,20TH CENTURY乙。

199 :名無し募集中。。。:04/03/07 11:09 ID:21IIQly6
保全

200 : :04/03/07 20:12 ID:rw3z4fEU
200

201 :ナナシマン:04/03/08 23:09 ID:scWrKiCt
第55話 「白い翼」


 北海道、室蘭。ある日の昼下がりのこと。時ならぬ「爆弾低気圧」の折り、
風雪が街をも凍れと吹き付ける中一人の少女が寒さに身を縮めながら通りを行く。
その日人通りは少なく、また行き交う車もまばらだった。それでも彼女はどうしても
この大雪をついてでもやらなければならない事があった。アスファルトを覆う雪を
慎重に踏みしめながら、少しずつ前に進む。鈍色の寒空に消えていく少女の白い
吐息。やがて少女は交差点へとさしかかった。白いヴェールの彼方に一点だけ
灯ったかのような、信号灯の光が奇妙なコントラストを描く。少女が顔を上げた
その時、信号はまだ青だった。

 (大丈夫、まだ行ける)

 周囲を確かめながら、少女は横断歩道を渡り始めた。そして四分の三程度を渡り
終えたその時だった。

 『キイイイイイーッ!!』

激しいブレーキ音を響かせながら突如交差点に突っ込んできたのは、一台の乗用車
だった。遠く関東方面からやって来たこの車は、突然の大雪に対する備えが不十分の
まま北海道に来てしまったのである。少女がこの車の存在に気づいたときには、
すでに回避は不可能だった。車は道路脇に乗り上げたが、自走することが可能だった
のかけたたましくタイヤが悲鳴を上げると、脱兎のごとく現場から走り去っていった。
一方、その車にはねとばされる形で少女もまた雪の降り積もる歩道に倒れていた。

 「おねえ・・・ちゃん・・・」

遠のく意識の中で、少女が呟いた言葉。事故の瞬間、走り去っていく車の、それこそ
乗っていた者の顔までも見えたほどゆっくりと流れた時間。やがてそれは、全身を
襲った衝撃にかき消された。そしてそのまま、少女のまぶたはゆっくりと重く閉じ
られていった。

202 :ナナシマン:04/03/08 23:09 ID:scWrKiCt
 そして少女が再び目を開いたとき、彼女は闇の中にいた。やがて顔、いやむしろ
全身に違和感を感じた彼女は、その正体を確かめるべくゆっくりと手を伸ばした。
どうやら、それは布か何からしい。そう感じた彼女は、自分の身体を包むように
かけられていた布らしきものを取り払い、ゆっくりとその身を起こす。目が徐々に
慣れてくると、彼女は自分がどうやら部屋の中にいるらしいことに気がついた。
そして、そこには自分一人しかいないことも同時に知った。薄暗い部屋の中に、
なぜかたった一人で横たわっていたのである。さらに、少女は着ていた服ではなく
何か検査衣のようなものを着させられていることに気づいた。ベッドとも台とも
つかぬものに横たえていた身体をすっかり起こした彼女は、裸足のまま床へと
降り立つ。皮膚感触、呼吸、嗅覚、視覚。その全てが今まで通りであることに
彼女は不思議な感覚を覚えていた。あれだけの事故に遭っていながら、である。

 (死ぬかと思ったのに何ともないや・・・なんでだろ)

 交通事故に遭ったことは自分でも理解していた。はねられ、跳ばされ、
叩き付けられる瞬間まで記憶していた。それなのに、なぜ今自分は全くの無傷で
そこにいるのかが判らなかった。戸惑いながら薄明かりの中で自分の身体の隅々に
視線を走らせるが、とくに変わったことはないように思えた。自分はすっかり
平気なのだと思うまでにはならなかったが、少なくともこの居心地の悪い部屋に
いる理由は無いように思えた。こんなところにいつまでもいたのでは、生きた
心地がしないと少女は思っていた。

203 :ナナシマン:04/03/08 23:10 ID:scWrKiCt
 仕方なく少女は検査衣のまま部屋から外へ出ることにした。ドアノブにゆっくり
と手を掛けると、大した手応えを伝えることなくドアは開いた。あっけないほど
簡単に外に出ることが出来た少女の目に映ったのは、先ほどの部屋よりは少し
明るい通路だった。それと同時に少女の鼻を刺激したのは薬品のにおい〜どうやら
消毒用のアルコールのようだ〜だった。その瞬間、彼女は一応自分を納得させる
答えを導き出すことが出来たと思った。事故にあった自分は病院に運ばれ、そこで
意識を取り戻したのだと理解することが出来た。

 「よかった・・・助かったんだ」

 命に関わる事故だった。しかし奇跡的に彼女は一命を取り留めた。安堵の表情を
浮かべ、ふと見つめた部屋。だがそこに、少女の予想だにしない事実の証左となる
プレートが掲げられていた。がっくりとうなだれ、膝をつく少女。彼女の目に
飛び込んできたプレートには、明らかにこうかかれていた。『霊安室』と。

204 :ナナシマン:04/03/08 23:11 ID:scWrKiCt
 その部屋が何のためにあるのか、それくらいの事は少女も十分理解していた。
少なくともそこは生者が世話になるような部屋ではない。人間はまれに死後数時間
から十数時間経過した後突然息を吹き返すケースがあるという。従って彼女がその
例外的ケースに当てはまったという事実も無いわけではない。だが、今の彼女に
そのような判断は出来なかった。

 「いやあぁぁぁぁぁぁ!!」

 頭を抱え、髪を振り乱しながら少女は乱れた足取りのまま通路を走る。それは
おおよそ正常な人間の有様ではなかった。薄暗い通路を抜け、どこを目指すでもなく
ただこの場から逃れるために走る少女の姿は、行き会った何人かの病院関係者に
目撃されていた。

 「あれって確か・・・」

 「おととい事故にあった女の子じゃないか?」

 「んな馬鹿な!」

 彼らの会話が事実ならば、明らかに人間の蘇生時間を超えて少女が蘇生した事に
なる。少女が意識を取り戻したことはすぐに病院内に知れ渡ることとなり、すぐさま
彼女の身柄を取り押さえるために職員や警備員達が行動を開始した。程なくして少女に
対する包囲網は縮まっていき、少女は中庭に追いつめられた。彼女が事故に遭って
以来、嵐のような風はやんだものの雪は未だ降り続き中庭を白く染めている。

205 :ナナシマン:04/03/08 23:12 ID:scWrKiCt
 「安倍さん!落ち着きなさい!!」

 「とりあえず落ち着いて話し合いましょうよ?ねえ?!」

 取り囲む警備員や病院職員が口々に彼女の名を叫ぶ。何とか少女をなだめようと
する者がいる一方で、その傍らにはさすまたを手にした警備員の姿もある。状況を
理解できないのはお互い様だった。少なくとも彼らにとって少女〜安倍麻美は
おとといの事故で命を落とした、そう思われていたからである。

 (確かに心停止の状態にあったのに・・・なぜだ)

 (この子は事故で死んだんじゃないのか。何がどうなってんだ)

 (気味が悪いわ・・・はやく取り押さえてよ)

 (警察を呼べ!俺たちじゃ太刀打ちできないかも知れん)

口にこそ出さなかったが彼らは麻美に対して一様に不気味さと嫌悪感を抱いていた。
しかしそれは通常ならば相手にダイレクトに伝わる感情ではなかった。だが、今
自分を取り巻く人々の抱くこれらの感情が、麻美の心に直接伝わってきたのである。
心の声は口々に言う。

206 :ナナシマン:04/03/08 23:13 ID:scWrKiCt
 (化け物!)

 (このバケモノ!)

自分をなだめすかすために繕う引きつった笑顔の下に、悪罵の言葉を吐く別の
顔が隠れている、麻美はそれを思いがけずして見透かしてしまった。少女の
猜疑心が、明らかな敵対心と憎悪に変わる。

 「あたしは・・・あたしは化け物なんかじゃない!!」

 雪降り積もる中庭に響く怒りの叫び。まるで自分たちの心を見透かされたかの
ような言葉に、一瞬戦慄を覚える病院関係者達。麻美はそんな彼らをにらみつける。
彼女の瞳に燃える怒りにも似た不気味な赤い光が宿ったその直後、少女の背中に
大きな白い翼が生えたように見えた。そしてその翼が翻った瞬間、そこから無数の
光の矢のようなものが放たれると、それは次々と居合わせた人々へと浴びせられた。
一瞬のひらめきと共に、雪の中に舞う光の羽根におそわれて青白い炎を吹き上げ
ながら崩れ落ちる職員達。彼らの命は一瞬にして奪われた。それはあまりにも
短時間の出来事だった。

207 :ナナシマン:04/03/08 23:14 ID:scWrKiCt
本日は以上です。続きはまた明日。

208 :名無し募集中。。。:04/03/09 01:33 ID:vc8O4/XO
更新乙です。何かと思ったらこういうことだったのかぁ…
最後の最後でやっとわかりましたw

209 :ナナシマン:04/03/09 22:32 ID:LeDdy8RV
 あまりに超常的すぎる惨劇の後、麻美はすっかり我を忘れ、たった一人雪の中に
たたずんでいた。しかし、運命は残酷にも彼女を現実へと引き戻し、己の罪を
まざまざと見せつけた。麻美は事の重大さに気づき、身震いが止まらない。

 「なんで・・・どうして・・・」

 一瞬の憤りに身を任せ、目の前にいた者達全てを殺めたのは自分。視線を落とせば
ついさっきまで人の姿をしていた者達の亡骸〜それはもはや灰か砂のようなもので
しか無かったが〜が雪の上に残されている。中には未だ青白い炎がゆらめいている
ものもあった。私は取り返しのつかないことをしてしまった、そんな自責の念と
この世ならざる力を突然に発揮したことに対するとまどいなど、およそ十代の少女が
一人ではとうてい背負いきれない思いが行き場を失い、涙となってこぼれそうに
なっていた。と、その時である。

 ふと自分の背後に人の気配を感じ、麻美は振り返ったその先に一人の少女の姿を
見た。小柄なその少女が、かつて姉が友人だと言って紹介した少女であることに
気づくのには、そう時間はかからなかった。

 「・・・福田さん?」

その少女〜福田明日香は黙ってうなずいた。麻美の周りにはかつての教育係だった
戸田が示したオルフェノクによる襲撃の痕跡が残されている。彼女は事の一部始終を
瞬時に理解した。麻美の身に何が起きたのか、それを理解した上で彼女は麻美の
そばへと歩み寄る。だが、そんな彼女を麻美は拒絶した。

210 :ナナシマン:04/03/09 22:38 ID:LeDdy8RV
 「来ないで!!」

 己の意志に関わらず人ならぬ者として覚醒した麻美は、自分の運命に明日香を
巻き込むことをおそれていた。しかし、混乱し狼狽する麻美の気持ちは誰よりも
明日香自身が一番理解できていた。なおも歩み寄る明日香、後ずさる麻美。
そんな麻美の心を解きほぐすかのような穏やかな笑顔とともに、明日香はゆっくりと
右手を差し出す。

 「怖がらなくていいよ・・・私も、同じだから」

 「・・・?!」

 「私も、あなたと同じだから」

「自分と同じ」、そんな明日香の言葉が麻美の心を包み込む。麻美にとって明日香は
まったく知らない相手ではなかったし、そして何よりその彼女が同じ境遇にある者
であると聞いた時、麻美はいまこの世の中で信じられるのは明日香だけだと感じた。
麻美は明日香に応えておずおずと右手を差し出すと、明日香の手を握り返した。

 人が来てからでは騒ぎになる。この街にいてはいずれ自分たちを脅かす意図を
持つ者達の手が伸びるかもしれない。そう考えた二人は病院を後にすると、空港へと
向かった。明日香は自分が北海道に来たのは姉であるなつみの消息を知るためだと
麻美に語ると、一方の麻美もまた東京に行った姉の身を案じていたと伝えた。

211 :ナナシマン:04/03/09 22:39 ID:LeDdy8RV
 「高校も卒業したし、東京に行きたかったんです。お姉ちゃんに会いに。
なのに・・・」

 「事故に遭って・・・今ここにいる」

明日香の言葉にこくり、とうなずく麻美。しかし、事故に遭ってから思いもよらぬ
形で再び蘇ったことに対するとまどいは隠せない。ふと病院での惨事が頭をよぎる。
自分の中に眠る未知の力が、いつ己の意志に反する形で現れるかは判らないのだ。

 「はい・・・でも私、これからどうなっちゃうんですか」

 「私も探してるところだよ。答えはまだ出てない」

自分の中に眠る恐ろしい力〜オルフェノクとしての力を押さえ込むように、両手を
固く組んで自分の手に押し当てる麻美。彼女の恐れと戸惑いは、明日香の目にも
見て取れた。そんな自分を見る明日香の視線を感じ、麻美はぎこちない笑顔とともに
言った。

 「でも、福田さんと一緒に東京に行けば・・・なんとなく判る気がしたから」

 「なら、一緒に探そうか。少ないけど仲間もいるし」

この時、二人の心は決まった。室蘭から機上の人となった二人は、数時間後東京に
たどり着いた。

212 :ナナシマン:04/03/09 22:39 ID:LeDdy8RV
 今日の分はここまで。明日は宴会が入ってしまったので、もしかしたらお休みするかも
しれません。

213 :ナナシマン:04/03/09 22:54 ID:LeDdy8RV
>固く組んで自分の手に
 自分の胸に、ですね。お詫びして訂正します。

214 :名無しハンペン:04/03/11 17:07 ID:CpnvO2vB
>>212
「鶴」いよいよ登場ですね。他キャラとの絡みが今から楽しみです。


ナナシマンさんの掲示板をお借りしてこんなもの始めました。
興味のある方は読んでみてください。

「すごい科学で語ります」
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/music/6849/1078735751/

感想もお待ちしてますので上記スレにお願いします。

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